Kontaの歓びの毒牙

映画と音楽が大好きです。ホームページ KONTABLOID はこちら http://www5d.biglobe.ne.jp/~ktabloid/

大毎地下劇場 その3 名画の殿堂 西梅田 毎日大阪会館南館地下

 引き続き、その3では大毎地下名画鑑賞会(於:毎日文化ホール 毎日大阪会館北館11F)で観た、私の好きな映画を6本挙げていきたいと思います。 

 

 f:id:KONTA:20201107033048j:plain

1984年8月3日(金)の朝日新聞夕刊に掲載された大毎地下の広告
 

 まず1978年の6月に「バリー・リンドン / Barry Lyndon」(1975)と2本立てで観た「愛のほほえみ / La bellissima estate」(1974)ですね。70年代によくあった“お涙頂戴もの”の1本といわれれれば確かにそうなのかもしれませんが、実際に人生ではこういった悲しい出来事は起こるわけですし、この映画は何か後々まで心に残る映画でした。

 

「愛のほほえみ / La bellissima estate」(1974) 

f:id:KONTA:20201108023335j:plain

Alessandro Cocco &  John Richardson

 

 ルーカ役の男の子(女優のイヴリン・スチュアー ト Evelyn Stewart の息子さんのアレッサンドロ・コッコ Alessandro Cocco)は可愛いし、レーサーの父を演じたジョン・リチャードソン(John Richardson)はセクシーでとても魅力的だったように記憶しています。今見直しても同じように感じるかどうかはわかりませんが…。そして母役のセンタ・バーガー(Senta Berger)ももちろん素敵でした。

 

f:id:KONTA:20201109171907j:plain

若き日のジョン・リチャードソン(John Richardson)  1964年

 

「愛のほほえみ / La bellissima estate」(1974)

f:id:KONTA:20201108023848j:plain

でも、この映画がいいのは、友人役の少年マルコ(上の画像の右側 Duilio Cruciani)の存在が、映画をピリッと引き締めているからなんです。雨の中にたたずむマルコが、ルーカの死を悟り歩き出す最後の場面は、余韻を残す、とても悲しく美しい映像でした。 

 

毎日大阪会館北館11階 毎日文化ホール

f:id:KONTA:20210612113642j:plain

毎日放送(MBS)局のスタジオとして1956年7月に開設、1963年にホールとして再オープン。

 

 1980年の6月に「バレンチノ / Valentino」(1977)との併映で観た「恋する女たち / Women in Love」(1969)は、個人的にケン・ラッセル(Ken Russell 1927 - 2011)の最高傑作だと思います。この映画を観て以降、現在に至るまでアラン・ベイツ(Alan Bates 1934 - 2003)は私の一番のお気に入りの男優となりました(暴力男のライアン・オニールはもうどうでも…)。こんな素敵な男アラン・ベイツが実生活でもゲイ(女性と結婚して2人の子供がいたからバイ?)だったなんて、素晴らしいですね~。

 

恋する女たち / Women in Love」(1969) 

f:id:KONTA:20201108030541j:plain

Jennie Linden & Alan Bates

 

 ところで、私は昔(1977年11月に第8回世界歌謡祭で「愛の絆 / We've Got It Made」を歌っているのを見た時)からジョージ・チャキリス(George Chakiris)のファンでもあるのですが、先日古い雑誌「スクリーン」(1970年8月号)を読んでいたら、ジョージの興味深いインタビュー記事が載っていました(同号131頁)。

f:id:KONTA:20201108032702j:plain

1970年5月23日、ジョージ・チャキリス3度目の来日

 

小森和子おばちゃまの質問にジョージは

f:id:KONTA:20201108032821j:plain

と、答えていました。昔からたぶんそうだろうな…とは思っていましたが、ジョージったらやっぱりそういうことだったんですね~(何が?)

 

アラン・ベイツ と オリバー・リード(オリヴァー・リード 1938 - 1999) 

f:id:KONTA:20201108033519j:plain

Alan Bates &  Oliver Reed 「恋する女たち / Women in Love」(1969)

 

ジョージ・チャキリスさん、映画「恋する女たち」 が好きだなんて、僕たち話が合いそう…ね。

My West Side Story: A Memoir

わたしのウエストサイド物語

(↑ジョージ・チャキリスさんの回想録)

 

毎日文化ホールはJR大阪駅から10分、地下鉄四つ橋線西梅田駅から5分

f:id:KONTA:20210612114409j:plain

ホール1階 197 (移動席 パイプ椅子)、ホール2階 80 (固定席)、ミラーボールもあるのよ!

 

 次のお気に入り作品は「フォー・フレンズ 4つの青春 / Four Friends」(1981)です。この映画は、1983年の7月に併映の「グリニッチ・ビレッジの青春 / Next Stop, Greenwich Village」(1976)の方が観たくて、その日、名画鑑賞会に行ったのですが、こちらの「フォー・フレンズ」の方がすごく良かった印象があります。でもそれ以降再見する機会がなく、正直話の詳細はよく憶えていないのですが、ひとつだけ確かなことがあります。それは脇役で出てくる、脚に障がいのある青年ルイというキャラクターの人物像と、このルイを演じたリード・バーニー(Reed Birney)という俳優が、とても清々しく際立って魅力的だったということです。

 

「フォー・フレンズ 4つの青春 / Four Friends」(1981)

f:id:KONTA:20201108035402j:plain

左から2人のメガネの人物がルイ(リード・バーニー Reed Birney)君

 

「フォー・フレンズ 4つの青春 / Four Friends」(1981)

f:id:KONTA:20201108035453j:plain

左がルイ(Louie)役のリード・バーニー(Reed Birney)

 

 この映画を観た後、1985年に出版されたセツ・モードセミナーの今は亡き長沢節(1917 - 1999)さんの本「セツの100本立映画館」(草思社)を読んでいたら、節さんもルイ役のリード・バーニー君について“すばらしい表情とその演技で、これにはまいってしまった”と書いておられました(175頁)。この240頁程の長沢節さんの本は、1冊全体がお勧めですので、ぜひ古本で探して読んでみて下さいね。

 

f:id:KONTA:20201108062759j:plain

1986年6月朝日新聞掲載、大毎地下の広告

 

 以前の記事で、私はドイツの作家トーマス・マン(Thomas Mann 1875 - 1955)が大好きだと書きましたが、高校2年だった1980年の秋に、仲良かった友人のSが「兄の持ってた雑誌にこんなん載ってたで~」と言って、雑誌月刊「PLAYBOY 日本版」1980年2月号を私に持ってきてくれました。そこには

 

f:id:KONTA:20201108045915j:plain

トーマス・マンの幻の日記 死後20年を経てとうとう公開!!

 

「わたしを悩ませた同性愛の衝動」という、13頁に渡るトーマス・マンの日記の抜粋を中心とする記事が掲載されていて、僕がマンの大ファンだと知っていたSは、その雑誌1冊まるごと僕にくれたのです。その記事を読んで僕はますますマンに興味を持ちました(えへっ)。

 

毎日大阪会館北館の階段。1956年発行のある雑誌に掲載された写真。

(皆さん、映画を観た後、この階段を歩いて降りましたよね?名画鑑賞会の人気番組の際は、入場を待つ人々がこの階段にまでずら~っと並ぶこともありました。)

 

 そんなトーマス・マン好きの私にとって、大毎名画鑑賞会1985年5月のプログラム「嘆きの天使 / Der blaue Engel」(1930)と「メフィスト / Mephisto」(1981)の2本立ては素晴らしいカップリングでした。トーマス・マンの兄ハインリッヒ・マン(Heinrich Mann 1871 - 1950)の「ウンラート教授 / Professor Unrat」(1905)を原作とする「嘆きの天使」と、トーマス・マンの長男で、父親と同じくやはりゲイだったクラウス・マン(Klaus Mann 1906 - 1949)の同名小説「メフィスト - 出世物語 / Mephisto, Roman einer Karriere」(1936)を原作とする「メフィスト」、この2映画化作品を組み合わせた素晴らしい企画ですね!。いったいスタッフのどなたが考えたのでしょう。ありがとうございました。このプログラムには感激しました。この2本どちらも映画自体名作でもあります。そこでこの2作品をまとめて選びました。

 

嘆きの天使 / Der blaue Engel」(1930) と 「メフィスト / Mephisto」(1981) 

f:id:KONTA:20201108053753j:plain

Kinder, heut' abend, da such' ich mir was aus einen Mann, einen richitigen Mann!

 

1980年代半ば頃の毎日大阪会館周辺詳細地図

f:id:KONTA:20210612115124j:plain

毎日文化ホールはここ↑だ!

 

 1980年代、日本ではニュー・ジャーマン・シネマの静かなブームがありました(よね?)。SABホールでの1984年12月、ヴェルナー・ヘルツォーク(Werner Herzog)、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーRainer Werner Fassbinder 1945 - 1982)、ヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)の3人を特集した「ニュージャーマンシネマの御三家」(3本立て×7日間)は全て通いました。そしてフォルカー・シュレンドルフ(Volker Schlöndorff)の作品も当時話題になっていました。これらの4監督の中で私が特に好きなのはやっぱりファスビンダーです。「不安と魂 / 不安は魂を食い尽くす / Angst essen Seele auf」(1974)、「秋のドイツ / Deutschland Im Herbst」(1978)(の1エピソード)…異彩を放った傑作が色々あります。1991年5月に大毎地下名画鑑賞会で観た遺作「ファスビンダーケレル / Querelle」(1982)も出演者は魅力的だし、独特の色彩、映像、美術、エロさ!が圧巻でした。(併映は「カラヴァッジオ」)。

 

f:id:KONTA:20201108062516j:plain

映画「ケレル / Querelle」の中でジャンヌ・モロー(Jeanne Moreau)の口ずさむ歌「Each Man Kills The Things He Loves (Lyrics by Oscar Wilde / Music by Peer Raben)」もサントラ盤(上の画像左)に収録

 

 以上の6作品が、私が大毎名画鑑賞会で観た特に印象深い映画です。

 

下の画像は、大毎地下劇場ファンのオフ会で、竜作さんが皆に配ってくれたコピーから取り込みました。1993年のたぶん雑誌「エルマガジン / L magazine」からのものだと思います。竜作さん、いつも貴重な資料、ありがとうございます。

f:id:KONTA:20201108150714j:plain

“あまり注目されずにサラッと閉館したい…” そういうところがいいですよね。大毎地下劇場…忘れがたい劇場でした。

 

 さて、 大毎地下劇場があった毎日大阪会館南館の跡地ですが、現在は「ホテル エルセラーン 大阪」(下のホテルの画像3枚は全てHPより)というホテルが建っています。1Fに カフェテラス銀木犀(ぎんもくせい)があり、そこには行ったことがあります。

 

f:id:KONTA:20201109010844j:plain

ホテルエルセラーン大阪の1F カフェテラス銀木犀

 

今調べてみたら、このホテルの5Fにはエルセラーンホールという416人を収容できる立派なホールがあるようです。

 

f:id:KONTA:20201109010946j:plain

416人収容 エルセラーンホール

 

そして、そこでは300インチ(6642mm×3736mm)のスクリーンもあるそうです。

 

f:id:KONTA:20201109011119j:plain

スクリーン 300インチ(6642mm×3736mm)

 

これなら映画の上映も可能ですよね~。かつて大毎地下劇場があった場所での映画上映のイベント(“地上で復活!○年に1度限りの大毎地下劇場”的な?)などがあれば楽しいのではないでしょうか。このホールは、土日祝9:00~18:00の時間帯で、475200円(税込)で借りられるようなので、収容人数416席が全部埋ったとして、単純計算で1人1143円。半数しか入らなくても1人2300円ぐらいなら、出せない金額ではないと思います(そんなに集まるか?)。昔、大毎地下に通ったであろう1965年以前に生まれたシニア&シルバー世代の映画ファンなら、そろそろ自由な時間もたくさん持てる人もいるだろうし…。「午前10時の映画祭」があれほど好評だったのですから、参加したい熟年層の方(アナタのことですよっ!)はきっとかなりいるはず…などと、色々妄想をどんどんふくらませて、ひと時楽しんでみましたぁ~。

 

大毎地下劇場 雑誌「バラエティ」1982年2月号47頁「名画座ガイド」大毎地下劇場の回に掲載の写真↓ 左手にあるポスターから1981年の10月末頃に撮影されたものだと推測されます。

f:id:KONTA:20201110165432j:plain

右上のポスター:
1981年10月24日(土)~10月30日(金)上映プログラム
マイ・フェア・レディ / My Fair Lady」(1964) 「ローマの休日 / Roman Holiday」(1953)と併映

左下は大毎地下名画鑑賞会(毎日文化ホール 毎日大阪会館北館11F)上映プログラム
左下のポスター:
1981年10月28日(水)~10月31日(土)
「三銃士 / The Three Musketeers」(1973) 「四銃士 / The Four Musketeers」(1974)と併映

 

 大毎地下劇場 メモ
1958年(昭和33年) 大映の直営館としてスタート
1961年(昭和36年) 洋画専門の名画座に転向 その後大映倒産(1971年 昭和46年)で、経営が毎日ビル企画に移る
1972年(昭和47年) 毎日大阪会館北館の毎日文化ホールにて大毎地下名画鑑賞会スタート 大毎地下劇場は2番館の為どうしても上映規制があり、番組に幅を持たせ、友の会(1973年 昭和48年 発足)会員の希望に答えるため開催 名画鑑賞会の番組は会員のアンケートに基づいている
1993年(平成10年) 3月28日(日)に閉館

 

地下鉄西梅田駅の上に出ると、大阪駅前第1ビル↓(1979年10月)

f:id:KONTA:20210106223305j:plain

前の横断歩道を南に渡り、大毎地下劇場・毎日文化ホールへ…。

 

最後にネットで見つけた懐かしい画像を…。リンク先から頂きました。ありがとうございます。

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2017/12/12/20171212org00m070001000q/0.pdf?1

f:id:KONTA:20201104011227j:plain

大阪毎日新聞社(左) と 毎日大阪会館北館(右)

私は地下道は使わずに、地下鉄西梅田駅から地上に出てこの建物の前を通って、名画鑑賞会へ行っていました。

 

毎日大阪会館北館 ここ北館11Fで大毎地下名画鑑賞会が開催されていました。

f:id:KONTA:20201104011923j:plain

https://www.obayashi.co.jp/chronicle/100yrs/t2c2s99.html

この上の画像はこちら↑から頂きました。ありがとうございます。

 

毎日文化ホール内部 パイプ椅子がぎっしり並べられています。

f:id:KONTA:20210612115639j:plain

私は真ん中のブロックの向かって左端一番前に座って観ることが多かったように思います。あなたは?

 

私が毎日文化ホール(大毎地下名画鑑賞会)で観たプログラム

 
1977年08月 「アメリカン・グラフィティ」「理由なき反抗」
1977年08月 「シャーロットのおくりもの」「ペーパー・ムーン
1977年11月 「屋根の上のバイオリン弾き」「追憶」
1978年01月 「アメリカの夜」「トリュフォーの思春期」
1978年01月 「名探偵登場」「狼たちの午後
1978年06月 「愛のほほえみ」「バリー・リンドン
1979年05月 「ベニスに死す」「地獄に堕ちた勇者ども
1979年05月 「キャバレー」「メイム」
1979年09月 「博士の異常な愛情」「地球に落ちて来た男」
1980年06月 「恋する女たち」「バレンチノ
1980年06月 「ファニー・レディ」「ミラノの恋人」
1980年07月 「ラストショー」「おかしなおかしな大追跡」
1980年07月 「ゴッドスペル」「ジーザス・クライスト・スーパースター
1981年01月 「おかしなレディ・キラー」「シャンプー」
1981年02月 「イノセント」「家族の肖像」
1983年07月 「フォー・フレンズ 4つの青春」「グリニッチ・ビレッジの青春
1983年07月 「ミッドナイト・クロス」「殺しのドレス
1983年08月 「ロッキー・ホラー・ショー」「タイムズ・スクエア
1983年10月 「愛のメモリー」「料理長殿、ご用心」
1983年11月 「いつも心に太陽を」「招かれざる客」
1983年11月 「スケアクロウ」「さらば冬のかもめ
1983年11月 「ある結婚の風景」
1983年12月 「愛情物語」「ピクニック」
1984年01月 「フェリーニのアマルコルド」「ベリッシマ
1984年10月 「恋」「秋のソナタ
1984年12月 「フィツカラルド」「アギーレ 神の怒り」
1985年01月 「嘆きの天使」「メフィスト
1985年02月 「わが命つきるとも」「マクベス
1985年04月 「甘い生活
1988年06月 「デストラップ 死の罠」「メル・ブルックス大脱走
1991年05月 「ファスビンダーケレル」「カラヴァッジオ
1991年05月 「グレート・ブルー」「ローカル・ヒーロー 夢に生きた男」

 

毎日文化ホールの4つの資料画像は全て「エルマガジン L magazine 別冊 えるまがホールまっぷ 保存版」(1985年10月1日発行 定価580円)の85頁より掲載いたしました。(2021年6月12日追加)

 

毎日文化ホールでは「存在の耐えられない軽さ / The Unbearable Lightness of Being」(1988)を上映中↓。171分ある映画なので、変則の1本立て上映です。Korotaroさんの #Korotaro写真帖 から使わせていただきました。↓こちら:

https://twitter.com/yamataiko77/status/1452987212061048839

f:id:KONTA:20211118163643j:plain

大毎地下名画鑑賞会での「存在の耐えられない軽さ」の上映は2度。1990年4月10日(火)~14日(土)と1992年11月4日(水)~6日(金)なので、これらのうちのいずれかの日に撮影されたものだと思われます。こんな貴重な記録写真を残しておられた方がいたとは嬉しいいです!!(2021年11月18日追記)

 

この記事は、
大毎地下劇場 その4 名画の殿堂 西梅田 毎日大阪会館南館地下

https://k0nta.hatenablog.com/entry/2021/07/22/025610

に続きます。

 

Women in Love [DVD]

Women in Love [DVD]

  • 発売日: 2004/08/02
  • メディア: DVD
 
Women in Love

Women in Love

 
恋する女たち [VHS]

恋する女たち [VHS]

  • 発売日: 1990/02/09
  • メディア: VHS
 
George Chakiris Sings

George Chakiris Sings

 
Gershwin Songbook

Gershwin Songbook

 
恋する男たち BOYS IN LOVE

恋する男たち BOYS IN LOVE

  • 作者:今野雄二
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
セツの100本立映画館

セツの100本立映画館

 
PLAYBOY (プレイボーイ) 日本版 1980年 2月号 第56号

PLAYBOY (プレイボーイ) 日本版 1980年 2月号 第56号

  • 作者:岡田 朴
  • 発売日: 1980/02/01
  • メディア: 雑誌
 
嘆きの天使【淀川長治解説映像付き】 [DVD]

嘆きの天使【淀川長治解説映像付き】 [DVD]

  • 発売日: 2009/02/20
  • メディア: DVD
 
メフィスト―出世物語

メフィスト―出世物語

 
ファスビンダーのケレル [DVD]

ファスビンダーのケレル [DVD]

  • 発売日: 2018/10/27
  • メディア: DVD
 
Querelle - Soundtrack

Querelle - Soundtrack

 
She [Import anglais]

She [Import anglais]

  • 発売日: 2006/11/13
  • メディア: DVD
 

ジョン・リチャードソン(John Richardson)の若き姿が見れる映画「炎の女 / She」↑(1965) と「大学は花ざかり / Bachelor Of Hearts」(1958)↓

Bachelor of Hearts [Region 2]

Bachelor of Hearts [Region 2]

  • メディア: DVD
 

トーマス・マン晩年のスイスの家が表紙となっています↓。

 

大毎地下劇場 その2 名画の殿堂 西梅田 毎日大阪会館南館地下

 引き続き、大毎地下劇場について…。

 

懐かしすぎる今はなきこの建物、毎日大阪会館北館(左)と南館(右)

f:id:KONTA:20201102021225j:plain

北館11Fでは大毎地下名画鑑賞会が開催され、南館地下には大毎地下劇場がありました。写真中央に、南館2Fの毎日ホールへと上がる階段が見えています。日建設計工務株式会社の「10周年記念作品集」という本(1962年7月1日発行)の58頁からです。ネットの情報で知り、古本で手に入れた全210頁ほどの立派な写真集です。送料込みで5840円でした。いいでしょう~?

  

f:id:KONTA:20201102024038j:plain

大毎地下ニュース 1977年8月号(第21号) サイズはB5x8頁ではなく、B4x4頁です。

 

 私が初めて大毎地下劇場へ行ったのは、1977年の8月、中学2年の夏休みのことでした。上の大毎地下ニュースはその時頂いたものです。すぐに友の会会員になり、1993年3月の閉館まで途切れることなくずっと会員でい続けました。だから友の会ニュースは第21号(1977年8月号)から最終号の第208号(1993年3月号)まで、今でもすべて持っていて大切に保管しています。

 

f:id:KONTA:20201102025345j:plain

私の大毎地下友の会ニュース、上から古い順に重ねるとこの厚さに。黄ばみ具合が時の経過を表しているようです。映画の紙媒体資料としても貴重なものですよん。

 この友の会ニュースですが、全問正解者に招待券のプレゼントがあるクイズあり、映画に関する連載の読み物あり、大毎のお客さんから届いた手紙やイラストの掲載あり…という盛沢山の内容で、いくらそれがお仕事とはいえ、この充実した内容で20年近く途切れることなく毎月発行し続けたスタッフ・執筆者の方々の情熱がひしひしと伝わってきますよ(注:初期の頃の友の会ニュースは、数ヶ月に1度の発行だったようです)。

 

 ところで、私が初めて大毎地下劇場で観た映画は 「がんばれ!ベアーズ / The Bad News Bears」(1976)、「キングコング / King Kong」(1976)の2本立てでした。劇場の入口から入ると、右手のロビーのガラスケースのカウンターに、これまで上映された映画作品のパンフレットで在庫がまだあるものが色々並べて売られていて、私は喜びました!それと同じく映画のポスターも一枚100円で販売されていて、こちらは残っている作品の、手書きのリストが掲示されており、欲しいタイトル伝えるとスタッフの方が、折り目がつかない程度にゆるく三つに折ったポスターの束から、希望のものを抜き出して丸めて渡してくれるという販売方法になっていました。まずその日は、当時大ファンだったライアン・オニール(Ryan O'Neal)の「ある愛の詩 / Love Story」(1970)や、マーク・レスター(Mark Lester)の「小さな恋のメロディ / Melody」(1971)、そしてその日に観る2作品のパンフレットなどを買い、次回来るときはもっとたくさんお金を持ってきて、欲しいパンフレットとポスターを沢山買うぞ!と思ったものでした。

 

ある愛の詩 / Love Story」の主演二人 

f:id:KONTA:20201104234814j:plain

愛とは決して後悔しないこと…”、ライアン・オニール、お前が言うなっ!!

 

 劇場の入口から左手に進むと一番奥は男子トイレ、その手前に女子トイレ、そして入口に一番近い場所に、テレビとソファの置かれたコーナーがあり、そのテレビでは決められた時間から、録画した名作映画のビデオを流してくれていましたので、友の会ニュースに掲載されたスケジュールで確認し、その中にテレビ放映で見逃した映画などがあれば観ることもできました。またこの待合コーナーには、誰でも自由に記入したり読んだりしていいノートが置かれていて、上映までに時間がある時など、それを見て楽しむことが出来ました。さらにこのコーナー近くに、自分の意見などを書いて入れることのできるポストも設置されていましたから、上映希望作品のリクエストの手紙を入れたりも可能でした。こういったところが大毎地下の素晴らしいところです。大毎地下劇場の上映作品だけに関していうと、ミナミの戎橋劇場と大差はないのですが、お客に対するこのサービス精神と家族的な雰囲気は、大毎地下ならではのものでした。

 

大毎地下劇場の入口とその奥のカウンター

f:id:KONTA:20201110164111j:plain

1981年10月末頃に撮影されたものだと推測されます。雑誌「バラエティ」1982年2月号47頁「名画座ガイド」のコーナーの大毎地下劇場の回に掲載されたものより。

 

 友の会会員に送られてくる招待券なのですが、この券が大毎地下劇場での上映作品にだけに有効で、名画鑑賞会では使えないことを知らなかった中学時代の私は、この招待券で観ようと名画鑑賞会に行きました。窓口で招待券を出すと、これでは入場出来ないと言われ、その時はショックでした。幸いお金を余分に持って行っていたので、その時はお金を払って映画を観ることが出来ましたが…。その後、ちゃんと招待券に“名画鑑賞会(文化ホール)は御使用になれません。”と但し書きが小さく印刷されるようになりました。また何年後かには最終的に、招待券で名画鑑賞会も入場できるよう変更になったようです。こういった、問題のあるところは改善していこうという姿勢もとても好感がもてましたね。

 

f:id:KONTA:20201106215654j:plain

1986年6月、朝日新聞掲載の大毎地下の広告

 

 毎日大阪会館北館11F毎日文化ホールで開催されていた大毎地下名画鑑賞会ですが、私がここで初めて観た映画は、同じく中学2年だった1977年の8月のプログラム「アメリカン・グラフィティ / American Graffiti」 (1973)、「理由なき反抗 / Rebel Without a Cause」(1955)の2本立てでした。その日は、すごい人人人…超満員で、もうびっくり!ホールの奥の階段から上がる2階席もありましたし、これだけ人が集まると、このホールのトイレはやはり数が少なすぎたのではないかと思います。下の他の階に降りていってそこのトイレを使うことも可能だったのでしょうかね~?この名画鑑賞会では映写機が1階座席(並べたパイプ椅子)へ向かう時に通るカーテンの少し左手奥に置かれていて、映画上映が始まってから遅れて座席につく人がその前を通ったりすると、人影で映像が消えてしまうということもしばしば起こりましたよね。

 

毎日大阪会館北館のエレベーター(左11F止まり、中10F止まり、右9F止まり 会館の玄関は右手に)と 階段の手すり 1956年

 

 この北館の建物なのですが、11Fまでエレベーターは1台だけで、他2台のエレベーターは10Fと9F止まりで、あとの階は階段を上って行っていました。それと1階玄関から入って右方向に進むとレコード店、ワルツ堂堂島店に通じるガラス張りのドアがあって、近くに建物の1階から2階に上がる階段もありました。この階段が木製の手すりのついた凝ったデザインの素敵なものだったように、ぼんやり憶えているのですが、2020年11月現在その写真はネットでは見つけられませんでした。どこかにかつての姿をうつした写真、残っていないのでしょうか?この階段がなんだかとっても気になっていて、無性に見たい気がしているのです。

 

2023年3月29日追記:見つけました!毎日大阪会館北館玄関ロビーの階段写真、1956年に発行されたある雑誌の中に…。この階段の左下にワルツ堂堂島店に抜ける扉がありました。これら全てが、もう残された写真と我々爺婆の記憶の中にしか存在しないんですね。

 

 大毎地下で観た映画で、私にとって特に印象的だった作品を、10本ほど挙げたいと思います。 まずは1977年11月に「ザ・ディープ / The Deep」(1977)(ドナ・サマー Donna Summer の歌う主題歌「The Deep / Down, Deep Inside」が超素敵!)との2本立てで観た「パピヨン / Papillon」(1973)です。この映画の中では美青年マチュレットとトルコ人看守の男の場面が大好きなんですわ~。

 

マチュレットは美しい男 Maturette (Robert Deman)

f:id:KONTA:20201106150752j:plain

そんな好きな男の為に、花を摘んで持って来るなんて…

Turnkey (Allen Jaffe) & Maturette (Robert Deman)

f:id:KONTA:20201106150841j:plain

こんなイカツい看守のおじさんが可愛いじゃありませんか~っ。マチュの美しい身体をナデナデ…

看守 Turnkey (Allen Jaffe)

f:id:KONTA:20201106150930j:plain

好き~っと表情で語っています。

Maturette (Robert Deman)  & Turnkey (Allen Jaffe)

f:id:KONTA:20201106151031j:plain

とうとうマチュレットに誘われて喜ぶ看守…でもこの後が、あぁ無情…。マチュ、せめて一度だけでも、このおじさんにいい思いをさせてあげて~っ。

 

 マチュレットと看守とのエピソードがと~っても良いものだから、その日は最初に「パピヨン」それから「ザ・ディープ」という順で観たのですが、「ザ・ディープ」が終わったあと、次の回でもう一度「パピヨン」のこの場面(えへへ)まで観てから、大毎地下を後にしました(アンタも好きだわね~。そうよっ、俺、美男とゲイ話大好きですけど、何か?)。

 

 それから、1978年6月、「ボビー・デアフィールド / Bobby Deerfield」(1977)と2本立てで観た「ミスター・グッドバーを探して / Looking for Mr. Goodbar」(1977)。この映画はその後も所有しているVHSビデオで何度も何度も観るほどのお気に入りです。

f:id:KONTA:20201106152438j:plain

サントラ・アルバムも最高っ!!当時の雑誌「アンアン / an an」からの切り抜きより

Looking for Mr. Goodbar ←サントラCD

f:id:KONTA:20201106223106j:plain

出演した俳優陣もみんな素晴らしいんです。「ミスター・グッドバーを探して」

f:id:KONTA:20201106153023j:plain

ゲイリー(トム・ベレンジャー Tom Berenger)は左の男に囲われてるの~。いやん!

 

 次には、1980年12月、「緑色の部屋 / La chambre verte」(1978)と2本立てて観た「プロビデンス / Providence」(1977)。

f:id:KONTA:20201106155847j:plain

アラン・レネ(Alain Resnais 1922 - 2014)監督作品「プロビデンス / Providence」

 

 高校2年だったその日は、仲良かった友人Sと二人、授業を昼から早退して13:50からの上映があった天王寺ステーションシネマでの「ラスト・タンゴ・イン・パリ / Last Tango in Paris / Ultimo tango a Parigi」(1972)を観に行ったんです。ギリギリその時間に間に合い窓口で券を買おうとして「学生1枚」とSが言ったら、窓口のおじさんに「成人映画やからあかん!」と言われてしまいました。そしたらSがとっさに「留学してて1年遅れてるから18歳や」と大ウソで答えて(←これには僕も心の中で大爆笑)、その後もSはそうとう食い下がったのですが、結局ダメで、窓口のおじさんには「私服で来たら入れたる」という言葉で会話を打ち切られてしまいました(涙)。それで、どうしようか~と2人で話し合って天王寺から西梅田大毎地下に向かうことに決めました。そこで観たのが「プロビデンス」でした。

 

f:id:KONTA:20201106160002j:plain

映画「プロビデンス」の冒頭のクレジット

 

Helmut Berger & Yves Saint-Laurent

f:id:KONTA:20201106221542j:plain

ヘルムート・バーガー様 と サンローラン


 この映画はですね~、サンローラン(イヴ・サン=ローラン Yves Saint-Laurent 1936 - 2008)が担当したエレン・バースティン(Ellen Burstyn)とダーク・ボガード(Dirk Bogarde 1921 - 1999)の衣装がとても素敵だったんです。本当に強い印象を私に残しました。それで、あの美しいファッションをもう一度見てみたい!と思って、何年もたってから中古ビデオを手に入れました。そして改めて観なおしてみて愕然!としました。マスター・フイルムの劣化でしょうか?画面の色落ちがすごくて、映画館で見た美しい色とまったく違っていたのです。

 

f:id:KONTA:20201106160726j:plain

美しい青だったエレン・バースティンの衣装がなぜか灰色に…。

 

f:id:KONTA:20201106160838j:plain

鮮やかさに目を見張ったダーク・ボガードのピンクの花柄のシャツがこんなヒドイ色に…。

 

 再見した「プロビデンス」、ホンマに悲しい色やね、でしたわ。

 

 大毎地下劇場で私が最後に観た2本は1992年6月の「ナック / The Knack ...and How to Get It」(1965)と「ザ・コミットメンツ / The Commitments」(1991)でした。この「ザ・コミットメンツ」は本当に楽しく音楽にあふれたいい映画でした。今はもちろんVHSビデオで所有していて、周りの人間に見せたりしています。アラン・パーカー(Alan Parker 1944 - 2020)は「小さな恋のメロディ」の原作・脚本を始め、「ダウンタウン物語 / Bugsy Malone」(1976)、「ミッドナイト・エクスプレス / Midnight Express」(1978)、「フェーム / Fame」(1980)…数々の素晴らしい映画を我々に残してくれました。

 

f:id:KONTA:20201106171701j:plain

 1992年の秋、タイ・バンコクの路上で買ったあやしい激安カセット・テープのカバー。「ザ・コミットメンツ / The Commitments」は使われている曲も好みです。

 

以上の4本が大毎地下劇場で観た私のお気に入りです(ホントはもっともっとあるのですが、ここではこれらの作品を挙げておきます)。

 

毎日大阪会館南館 ここの地階に大毎地下劇場がありました。

f:id:KONTA:20201104011748j:plain

https://www.obayashi.co.jp/chronicle/100yrs/t2c2s99.html

この上の画像はこちら↑から頂きました。ありがとうございます。

 

私が大毎地下劇場で観たプログラム


1977年08月 「がんばれ!ベアーズ」「キングコング
1977年08月 「ある愛の詩」「キャリー」
1977年09月 「追憶」「キャリー」
1977年09月 「アデルの恋の物語」「トリュフォーの思春期」
1977年10月 「合衆国最後の日」「スター誕生」
1977年11月 「ロッキー」「遠すぎた橋
1977年11月 「ザ・ディープ」「パピヨン
1977年12月 「草原の輝き」「理由なき反抗」
1977年12月 「おもいでの夏」「ジェレミー
1978年01月 「ビリティス」「シビルの部屋」 
1978年06月 「マイ・ソング」「風と共に去りぬ
1978年06月 「おかしな泥棒 ディック&ジェーン」「真夜中の向こう側」
1978年06月 「ボビー・デアフィールド」「ミスター・グッドバーを探して」
1979年03月 「プリティ・ベビー」「帰郷」
1979年04月 「ジュリア」「結婚しない女」
1979年05月 「幸福の旅路」「グッバイ・ガール」
1979年05月 「ナバロンの嵐」「グローイング・アップ」
1979年06月 「勝手にしやがれ」「家族の肖像」
1979年06月 「アシャンティ」「グレートスタントマン」
1979年07月 「ファール・プレイ」「スティング」
1979年07月 「アバ・ザ・ムービー」「ローマの休日
1979年08月 「スター誕生」「追憶」
1979年09月 「ハリケーン」「エーゲ海に捧ぐ
1979年10月 「インテリア」「アニー・ホール
1979年11月 「時計じかけのオレンジ」「エイリアン」
1979年12月 「バレンチノ」「ウェディング」
1979年12月 「エデンの東」「ジャイアンツ」
1980年05月 「ジャスティス」「ノーマ・レイ
1980年06月 「ある愛の詩」「ロミオとジュリエット
1980年06月 「ルナ」「女の叫び」
1980年07月 「出逢い」「追憶」
1980年11月 「青い珊瑚礁」「わが心のジェニファー」
1980年12月 「プロビデンス」「緑色の部屋」
1981年02月 「クレイマー、クレイマー」「チャンプ」
1981年02月 「アーバン・カウボーイ」「ミュージック・ミュージック
1981年06月 「テス」「ロミオとジュリエット
1981年06月 「スター誕生」「ローズ」
1983年04月 「炎のランナー」「黄昏」
1983年05月 「わたしは女優志願」「追憶」
1983年08月 「マイ・フェア・レディ」「アニー」
1983年10月 「山猫」「イノセント」
1983年11月 「評決」「ガンジー
1983年12月 「追憶」「レッズ」
1984年01月 「地球に落ちて来た男」「戦場のメリー・クリスマス」
1984年02月 「愛と哀しみのボレロ」「ひまわり」
1984年02月 「ある夜の出来事」「ローマの休日
1984年02月 「隣の女」「評決」
1984年05月 「フェーム」「オール・ザット・ジャズ
1984年06月 「終電車」「隣の女」
1984年08月 「ベニスに死す」「地獄に堕ちた勇者ども
1984年10月 「ウイズ」「ブレイクダンス
1985年03月 「フォート・サガン」「ひまわり」
1988年06月 「追いつめられて」「夜霧のマンハッタン」
1989年09月 「ポゼッション」「カルテット」
1991年05月 「バグダッド・カフェ」「ドラッグストア・カウボーイ」
1991年06月 「シェルタリング・スカイ」「ハリウッドにくちづけ
1992年06月 「ナック」「ザ・コミットメンツ

 

なんだかどんどん長くなりそうなので、あと6本の大毎地下名画鑑賞会で観たお気に入り映画は、

大毎地下劇場 その3 名画の殿堂 西梅田 毎日大阪会館南館地下

http://k0nta.hatenablog.com/entry/2020/11/09/221621

に続けることにします。

 

 

The Deep

The Deep

 
パピヨン [Blu-ray]

パピヨン [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: Blu-ray
 
Providence

Providence

  • メディア: DVD
 
The Commitments: Original Motion Picture Soundtrack

The Commitments: Original Motion Picture Soundtrack

  • 発売日: 1991/08/13
  • メディア: CD
 

  

大毎地下劇場 その1 名画の殿堂 西梅田 毎日大阪会館南館地下

 大阪市北区堂島に1993年3月28日(日)まであった名画座大毎地下劇場。

 

f:id:KONTA:20201031182806j:plain

大毎地下劇場 雑誌「ロードショー」1974年8月号228頁より 

 私が一番良く通った映画館と言えばやっぱりここ、大毎地下劇場と毎日文化ホール(隣のビル、毎日大阪会館北館11Fで開かれていた大毎地下名画鑑賞会)だと思います。 おこずかいの限られた中学・高校時代の私にとっては、映画をロードショーで観るのは、もちろんどうしても早く観たい作品だけでした。2か月も待てば大抵の映画が二番館、名画座で格安で上映されていたのですから。そんな二番館・名画座の中でもこの大毎地下劇場は、これ以上はないのではないかというほど、観客に至れり尽くせりの劇場でした。

 

f:id:KONTA:20201031183008j:plain

地下1Fの大毎地下劇場のチケット売り場(右)とさらに地下2Fの劇場入り口へと降りる階段(左) 雑誌「ロードショー」1979年2月号260頁より この窓口でチケットを受け取る時、地上からかなりの強風が吹き降りてくるので、毎回券をしっかりと押さえなくてはいけませんでしたよね~。

 

 大毎地下劇場には友の会というのがあって、年会費500円(のちに700円に)を払えば、

・会員証(裏面に入場するたびに押印してもらえる)

・毎回最低料金で観賞可能

・一年12か月毎月の「大毎地下友の会ニュース」の送付

・月指定された招待券2枚

・有効期限内に10回入場すると(つまり裏面の押印10個で)招待券1枚(2枚目のゴールド会員証は押印8個で招待券1枚)

・返却時に返金される保証金500円を払えば「キネマ旬報」のバックナンバーを借りること可能

などの特典を受けることが出来ました。いくら大阪人が“お得感”を重視するといっても、これほど得な友の会って他にあるでしょうか?(いいえ、ありません!キッパリ) 友の会のニュース送付12回分の切手代だけでも年会費を超えてしまっているのですから…。

 

f:id:KONTA:20201101232019j:plain

郵便番号のマスがまだ5ケタで、昭和と書かれた封筒…いい時代でしたよね~。

 

f:id:KONTA:20201101232154j:plain

毎月発行・送付して下さる「大毎地下友の会ニュース」 左は最終号の1993年3月号(第208号)、右はある方に頂いた1974年7月号(第4号)、これは貴重!

 

f:id:KONTA:20201101232247j:plain

会員証の裏面に入場ごとに押印してもらえます。

 

f:id:KONTA:20201101232423j:plain

招待券の裏面、1993年2月28日まで有効のハンコが…。

 

f:id:KONTA:20201101232707j:plain

上、毎月のニュースに入っていたお手紙(写真は第200号、1992年7月号に同封されていたもの)、下半分にリクエスト等を書いて大毎に提出します。下は毎年集計・発表されていたベスト10の記入用紙。一時期発表されていたワースト10が、会員皆さんの毒のある鋭いコメントが笑えて、個人的には大好きでした。

 

ネットで素敵な写真を色々見つけました。ここで紹介させて下さいね~。

 

下の画像はこちら↓から頂きました。貴重な写真をありがとうございます。

https://twitter.com/1958QQquarks/status/1044202004073992195

f:id:KONTA:20201031184226j:plain

1993年3月6日(土)~3月12日(金)上映プログラム
ふたりのベロニカ / La Double Vie de Véronique /Podwójne życie Weroniki」(1991)と「ハワーズ・エンド /Howards End」(1992)

後ろに北館1階のレコード店、ワルツ堂堂島店が映り込んでいるのが、またいいですね~。

 

下の画像はこちら↓から頂きました。貴重な写真をありがとうございます。

https://twitter.com/kotaroHirotsu/status/447525641185792001

f:id:KONTA:20201031184410j:plain

毎日大阪会館北館1階 ワルツ堂堂島店 1992年春の写真だそう。

この前の通りを何度往復したことでしょう。青春だったわね~(うへへ)。

 

下の画像はこちら↓から頂きました。貴重な写真をありがとうございます。

https://twitter.com/taikoyama77/status/1271433931481419776

f:id:KONTA:20201031184537j:plain

右上下のポスター:
1993年1月23日(金)~2月2日(火)上映プログラム
リーサル・ウェポン3 / Lethal Weapon 3」(1992)と「ブレードランナー 最終版 / Blade Runner」(1992)

左上下は大毎地下名画鑑賞会(毎日文化ホール 毎日大阪会館北館11F)上映プログラム
左上のポスター:
1993年1月26日(火)~1月29日(金)
「歌姫カルメーラ / ¡Ay Carmela!」(1990) 「ジプシー 風たちの叫び / The Raggedy Rawney」(1988) と併映
左下のポスター:
1993年1月19日(火)~1月23日(土)
「フォー・ザ・ボーイズ / For the Boys」(1991) 「ローズ /The Rose」(1979)と併映

 

 

f:id:KONTA:20201103131354j:plain

毎日大阪会館南館(手前) 地階に大毎地下劇場がありました。日建設計工務株式会社「10周年記念作品集」170頁より

 

f:id:KONTA:20201103131526j:plain

毎日大阪会館北館(手前) ここ北館11Fの毎日文化ホールで大毎地下名画鑑賞会が開催されていました。 日建設計工務株式会社「10周年記念作品集」168頁より

 


この記事は、

大毎地下劇場 その2 名画の殿堂 西梅田 毎日大阪会館南館地下

http://k0nta.hatenablog.com/entry/2020/11/06/234154

に続きます。

千日前 国際劇場

  2008年3月まで大阪市中央区難波にあった映画館、千日前国際劇場。

 

f:id:KONTA:20200926182220j:plain

千日前国際劇場  雑誌「ロードショー」1977年4月号151頁より。映画「ダーティハリー3 / The Enforcer」(1976)を上映中の1977年1月の写真です。手描きの看板がなんとも素晴らしいですね~。

 

 昔、大阪ミナミに向かう電車に乗ると、電車が難波に近づくにつれてだんだんと、窓の外にはいくつもの映画の手描き看板が見え始め、ワクワクしたものでした。 いつ頃からなくなってしまったんでしょうね、ああいった味のある手描き看板…。あの看板があってこそ、‘映画館’でしょう。今のシネコン(シネマコンプレックス)は、映画館というより単なる‘映画上映室’みたいで、なんだか味気ないですわ~。

昭和の映画絵看板 看板絵師たちのアートワーク

 

 私がここ、千日前国際劇場ではじめて観た映画は、1977年の7月、戦争映画の「遠すぎた橋 / A Bridge Too Far」(1977)でした。ロードショー公開から3日後、中学2年1学期の期末テストが終了した日に、観に行きました。上の写真にある国際劇場の正面入口から入ると、右手側には中庭があって屋外に出られるようになっていたと、ぼんやり記憶しているのですが…。

 

f:id:KONTA:20200926182303j:plain

遠すぎた橋」1977年7月2日(土)全国縦断一斉ロードショー! 

上のポスター下部、梅田グランドの左横に千日前国際劇場の名前が見えます。

 

もちろん目的は、ライアン・オニール(Ryan O 'Neal)様(下の写真左) 

f:id:KONTA:20200926182346j:plain

この映画自体の出来はどうなんでしょうね~。実際はそれほどスターでない人も含むいわゆる‘オール・スター・キャスト’が売りの、‘ハリウッドの大運動会’と言われた凡作…ですかね。でもテーマ曲と、目を見張る落下傘の場面はなかなか良いと思います。

 

かっこいいライアン・オニール(Ryan O 'Neal)様(下の写真左) 

f:id:KONTA:20200926182434j:plain

イギリス人監督リチャード・アッテンボローが、“いつでも?二枚舌”の自国を批判している点と、ドイツ軍人の人間味のある描き方は、 評価されていいかもしれません。

 

f:id:KONTA:20200926182506j:plain

ただしオランダの馴染みのない地名がいっぱい出てくるので、どの兵が今どの辺を進んでいるのか、映画を観ている間さっぱりわからなかったというのが、正直な感想でした。

 

また、1979年の9月、「スーパーマン / Superman」(1978)もここ千日前国際劇場で観ました。 

f:id:KONTA:20200926182607j:plain

チケット↑をある方にいただき観に行ったのですが、 もちろんとても楽める映画でした!

 

その「スーパーマン」上映時、次回の予告編でやっていたのが、ファラ・フォーセット(Farrah Fawcett 1947 - 2009)の主演第2作目「サンバーン / Sunburn」(1979)だったのを、とても良く憶えています。 

f:id:KONTA:20200926182710j:plain

10cc のグラハム・グールドマン(Graham Gouldman)の主題歌がバックに流れてました~。

 

映画「サンバーン」は、1979年9月22日(土)

f:id:KONTA:20200926182813j:plain

千日前国際劇場で、ロードショー公開!

 

「サンバーン」ついでに、私の持ってるファラ関係のシングル盤レコードの画像をどうぞ!

f:id:KONTA:20200926182902j:plain

1970年代末の素敵な音楽たち…、今聴いても時代を超えて楽しめま~す。

 

そして、ファラが一番輝いていたのは、やっぱりリー・メジャース(Lee Majors)とカップルだった時代と言えるのではないでしょうか。

f:id:KONTA:20200926183018j:plain

リー・メジャース(Lee Majors) & ファラ・フォーセット・メジャース(Farrah Fawcett-Majors)

 

 その後、ファラとライアン・オニールがくっついた頃には、私はもうファラにもライアンに対してもほとんど興味を失くしていました。 この二人は付き合うことで、お互いのキャリアを潰してまったという印象を持っているのは、私だけでしょうかね。

 

 脱線ついでに書かせて下さい。

 

 ファラの夫だったリー・メジャースって若い時、ロック・ハドソン(Rock Hudson 1925 – 1985)がパトロンとしてバックアップしてたのですよね~。その事を知ったのは、雑誌「ポパイ / POPEYE」1979年2月29日号(第49号)111頁の下の記事からでした。

 

JERRY COTTON-FBI'S TOP MAN ジェリー・コットン-エフビーアイズ・トップ・マン

ジャズ・クラブ~スリラー・ジャズ ←(ジョージ・ネイダー関連CD2枚)↑ 

俳優で作家のジョージ・ネイダー(George Nader 1921 – 2002)は、ロック・ハドソンの恋人ではなく、とても親しいゲイ友だったようです。 

f:id:KONTA:20200926183109j:plain

 

ロック・ハドソン と 偽装妻 フィリス・ゲイツ このカップルは3年で離婚 

f:id:KONTA:20200926184806j:plain

Rock Hudson (1925 – 1985) & Phyllis Gates (1925 – 2006) 

f:id:KONTA:20200927150634j:plain

幸せな家庭を演出中よ~。

 

ロック・ハドソンのお気に入りはリー・メジャース君 

f:id:KONTA:20200926183139j:plain

Lee Majors & Rock Hudson ロック嬉しそう!

 

お抱え裏庭専門庭師として“600万ドルの男”が、ロック・ハドソンと同じベッドに…?(キャア!) 

f:id:KONTA:20200926183208j:plain

はい、私は翔んでると思いま~す。

 

ロック・ハドソンとリー・メジャースの肉体関係については、こちらに面白い記事がありますよっ↓:

https://neptsdepths.blogspot.com/2016/02/fun-finds-tv-radio-mirror-august-1966.html

https://neptsdepths.blogspot.com/2021/10/fun-finds-tv-radio-mirror-february-1967.html

リーったら、ロックとの係わりを必死で隠したがるところが余計怪しいんだわさ。

 

f:id:KONTA:20200926184858j:plain

とってもハンサムな若き ロック・ハドソン Rock Hudson 1925 – 1985

 

 なかなか興味深い話…でしょう? さて話を戻しますと

 

 私が千日前国際劇場で最後に観た映画は、2000年8月の「リプリー / The Talented Mr. Ripley」(1999)でした。その日はお客さんは結構入っていたのですが、20年以上振りに訪れたその劇場の私の印象は、あまり良いものではありませんでした。正直「汚いとこやな~」と思ってしまいました。

f:id:KONTA:20200926183622j:plain

そして、映画「リプリー」の方はどうかと言うと、う~ん、アメリカ映画界ってどうしていつも名作外国映画を、自国で再映画化してつまらない作品をわざわざ作るのでしょう。この映画も不幸にも、その例外にはなりえませんでした。「リプリー」と「太陽がいっぱい / Plein Soleil」(1960)は原作が同じだけで、厳密な意味では、必ずしもリメイクとは言えないかもしれませんけれど…。この2作品の一番大きな違いは、モーリス・ロネアラン・ドロンが演じるキャラクター二人の間には、それが表面上どういう形で現れたとしても、互いに対する“愛”があったのに対して、ジュード・ロウの演じるディッキーには、マット・デイモン演じるトム・リプリーに対して、まったくそれがなかったということでしょう。この違いが、映画2作品の次元を変えてしまったように思います(単に私の好みかしら)。まあ、「リプリー」もそれなりに楽しめる作品だとは思いますけど、名作古典映画「太陽がいっぱい」を観ていた私にとっては、「リプリー」はまったくもの足りない出来でしたね~。

 

千日前国際劇場関連の切り抜きが引出しにありました。 

f:id:KONTA:20200926183704j:plain

1984年4月の新聞広告↑。前年のヒット作「フラッシュダンス / Flashdance」(1983)と「ステイン・アライブ / Staying Alive」(1983)を2本立でアンコール公開。

 

ついでに、こんな↓記事(朝日新聞 2012年5月9日(水)夕刊)も発見しました。

f:id:KONTA:20200927033530j:plain

ハリウッド男優に必要なのは、魅力的な容姿、才能、そして枕営業なんですね~(ぐふふ)。で、マッサージ師とトラボルタ氏、ウソをついてるのは一体どっちかしら~?

 

かわいいジョン・トラボルタ (ジョン・トラヴォルタ John Travolta)

f:id:KONTA:20200927034625j:plain

この↑キス、明らかに気持ち入ってると思います!

 

終わりに 千日前国際劇場 1977年1月 別角度からの撮影の写真を載せておきま~す。

f:id:KONTA:20200926183741j:plain

雑誌「ロードショー」1977年8月号256頁より RS劇場めぐり48

 

 

遠すぎた橋 [Blu-ray]

遠すぎた橋 [Blu-ray]

  • 発売日: 2017/08/02
  • メディア: Blu-ray
 
サンバーン [DVD]

サンバーン [DVD]

  • 発売日: 2003/12/20
  • メディア: DVD
 
リプリー [DVD]

リプリー [DVD]

  • 発売日: 2000/12/21
  • メディア: DVD
 

 

千日前セントラル 難波高島屋東 道具屋筋内

なんば高島屋の東、道具屋筋内に2006年9月まであった映画館、千日前セントラル。

 

f:id:KONTA:20200918175324j:plain

千日前セントラル 雑誌「ロードショー」1977年12月号256頁に掲載された写真。左手前のポスターから、上映中作品は読み取れませんが、1977年頃の写真だと思われます。 RS劇場めぐり52

 

  私が中学生の時好きだった女優は、バーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)は別格として、ジャクリーン・ビセット(Jacqueline Bisset)、ミア・ファロー(Mia Farrow)、シルビア・クリステル(Sylvia Kristel 1952 - 2012)などでした。1977年の5月15日の「日曜洋画劇場」(テレビ朝日 21:00~)でシルビアの出世作「エマニエル夫人 / Emmanuelle」(1974)のテレビ初放映(シルビアは山口いづみさんが吹き替え)があり、それももちろん観ました。そしてその同じ1977年の同じ5月、シルビアの新作映画「華麗な関係 / Une femme fidèle」(1976)が公開されるというので、テレビや一般の雑誌でも結構話題にもなっていて、ぜひとも観たいと思い、ロードショー公開時に観に行ったのです。

 

(左)Jさんが僕にプレゼントして下さったジェットリンク発売の「華麗な関係」DVD

f:id:KONTA:20200918180648j:plain

(右)映画を観てすぐ購入した「華麗な関係」のサントラ・シングル盤、定価600円でした。

  

 大阪難波でこの映画をやっていたのが、道具屋筋の千日前セントラルでした。初めてそこへ行く中学2年生にとっては、かなりわかりにくい場所でしたが、迷いながらもなんとか見つけて、映画館に入ることができました。観る予定の回はもう始まっていて、場内に入った時、映画の場面は、散歩に行ったマチルド(シルビア・クリステル)をシャルル(ジョン・フィンチ)が探しに出て、雨の草原の中で二人が出会うところだったのを覚えています。映画上映が全入れ替え制ではなく、次の回で見逃した場面まで改めて観るということも出来たゆるやかな良い時代でした。

 この映画のシルビアが美しいのはもちろんなのですが、相手役のシャルルを演じたジョン・フィンチ(Jon Finch 1942 – 2012)もすごく美男で素敵で、映画自体の一般的評価は決して高くはないのですが、私は結構楽しめましたし、好きな思い出の映画です。そして、まあ!ジョンは映画の中で美しい全裸を披露してくださいま~す。当時映画館ではもちろんボカシがありましたが、2012年にジェットリンクから発売されたDVDでは、一切モザイクなしですよ!ちょっと奥さん、聞きました!?

 

f:id:KONTA:20200918180748j:plain

ジョンはこの後、こちらを向きますよぉ~(きゃあ~)。

 

男前の英国俳優、ジョン・フィンチ

f:id:KONTA:20200919151906j:plain

Jon Finch (1942 – 2012)

 

カメラマンさん、もっとズームでお願いしま~す! 

f:id:KONTA:20200918180819j:plain

 

こちらは「華麗な関係」パンフレット掲載のジョン・フィンチのプロフィール

f:id:KONTA:20200919152011j:plain

ジョン・シュレシンジャーロマン・ポランスキーアルフレッド・ヒッチコックロジェ・ヴァディムら名監督の作品に出演。ジョンは、とんでもない失敗作映画「ベルサイユのばら / Lady Oscar」(1979)でオスカル様を演じたカトリオーナ・マッコール(Catriona MacColl)と、1982(1980?)年から1987年の間結婚していて、二人の間に子供がひとりいるとのことです。

 

これ↓は映画「ナイル殺人事件 / Death on the Nile」(1978) のジョン。スタイルもいいですね~。

f:id:KONTA:20200919152111j:plain

ジョン・フィンチ(Jon Finch) & オリヴィア・ハッセー(オリビア・ハッシー Olivia Hussey)
 

 ところで、私はドイツの作家トーマス・マン(Thomas Mann 1875 - 1955)が大好きなのですが、マンの晩年の長編小説「ファウストゥス博士 / ファウスト博士/ Doktor Faustus」が1982年に西ドイツで映像化されていて(1話約60分×3の3部構成で全長177分)、この映像化作品で主人公の作曲家アードリアーン・レーヴァーキューン(Adrian Leverkühn) を演じているのが、なんとこのジョン・フィンチなのです。

 

アードリアーン・レーヴァーキューンとヘタエラ・エスメラルダの出会いの場面

f:id:KONTA:20200918181001j:plain

 Adrian Leverkühn (Jon Finch) und Hetaera Esmeralda (Marie Lebée) 「ファウストゥス博士」

 

アードリアーンと同性愛関係となるヴァイオリニスト、ルードルフ・シュヴェールトフェーガー(ルーディ)(下左) Rudi / Rudolf Schwertfeger (Siemen Rühaak)

f:id:KONTA:20200919152212j:plain

アードリアーンが短期間ながら結婚を考える女性、フランス系スイス人の舞台芸術家(装置家)マリー・ゴドー嬢(上右) Marie Godeau (Marie-Hélène Breillat)

 

アードリアーンと美しい少年、5歳の甥のエヒョー(ネポムク)

f:id:KONTA:20200918181045j:plain

Adrian Leverkühn (Jon Finch) und Echo (Armel Loriquet) 「ファウストゥス博士」

 

 この映像化作品の「Doktor Faustus」ですが、映画ではどうしても出来事中心の描かれ方になってしまうので、原作にある深みはありませんが、主演のジョンはやはり魅力的ですし、思ったほど悪い出来ではなかったです。特に最初の2話はかなりいいレベルまでいっているように思います。最終話で急に失速していく気がしますが…。やはり音楽的要素の考察をさらりと流してしまうと、通俗的な話の印象だけで終わってしまうのは仕方がないのでしょうね。でもマンの原作が好きな方なら、この映画を観たらきっとまた原作を読み直したくなると思いますよ。私は大学時代の1984年に、H先生という方のマンの「ファウストゥス博士」の音楽についての講義を受講していたのですが、この映画を観た後、その当時のノートを取り出して再ひじっくり読み直しました~。

 

千日前セントラル→ジョン・フィンチ→トーマス・マンの「Doktor Faustus」と、どんどん話がそれてしまいました(えへ)。

 

 千日前セントラルに話をもどしますと、次にここで観た映画はライアン・オニール(Ryan O'Neal)主演の「ザ・ドライバー / The Driver」(1978)でした。この映画はどうしても早く観たくて、新聞に載っていた試写会招待の案内に多数枚の葉書を書いて当選し、実は1978年の8月に試写会でもう既に3度(SABホールで2回、ABCホールで1回)観ていたのですが、やはり劇場公開初日にも、4度目ですが観に行きました。それほどライアンが大好きだった時期なんで~す。

 

映画「ザ・ドライバー」の大阪劇場公開初日は1978年9月9日(土)でした。 当日一般1300円、学生1100円、前売特別鑑賞券1000円、学生前売券900円と記載されています↓。

f:id:KONTA:20200919152312j:plain

これ↑は公開5日前に朝日新聞に載った広告で、僕のライアン・オニールのファイルから取り出しました。安井かずみさん、服部まこさん、星野一義さんらのコメントも見えます。

 

 公開初日、この「ザ・ドライバー」を観に行くのに、僕が家の近くの駅に着いたら、当時中3の同じクラスで、僕と仲が良かったF君がホームにいました。今からライアンの映画を観に行くという話をしたら、F君もぜひ観たい!というので、一緒に千日前セントラルに向かい、隣同士の席で並んで観ました。このF君はとても興味深い人物で、成績は学年一(高校卒業後は東京大学に進学しました)、ピアノもとても上手で、音楽の趣味も、クイーン、ポール・サイモンザ・バンド…というぐあいでした。僕と同じくゲイ・ネタの話が大好きで、雑誌「JUNE」がまだ「COMIC JUN」だった時代の1978年秋の創刊号を買って、学校に持って来たりして、僕も見せてもらいました(ヘヘヘ)。創刊されて間もない雑誌「ポパイ」を知ったのもF君のおかげでした。F君、ゲイまたはバイだったのかなと…今考えると思います。そういう友人が近くにいた中学時代の私は、とても幸運でしたね。

 

 映画「ザ・ドライバー」ですが、9月9日に始まり9月末の新聞の広告には“空前の大ヒット!堂々10月へロング・ラン!” という大げさな表現が読めるので、結構ヒットしていたと思いますし、当時から評価も低くない作品でした。今でこそ‘ライアン・オニール=ダメ暴力男’の認識が一般に広く浸透していますが、1970年代の10年間は、最も旬のハンサム超売れっ子人気俳優だったのですよ。

 

イザベル・アジャーニ(Isabelle Adjani) & ライアン・オニール(Ryan O'Neal)

f:id:KONTA:20200919152359j:plain

ライアンのこの爽やかで優しそうな笑顔にアナタもだまされましたか? 

 

 はい、私は1977年の夏~1979年の約2年半の間、ライアン・オニールのハンサムな容姿に、ずっとだまされていました!!(ケケケ)

ライアン・オニール 1970/80年代雑誌切り抜き 32枚セット

 

f:id:KONTA:20210616174746j:plain

1980年11月、大阪ミナミを歩く人々。千日前セントラルではファラ・フォーセットの主演3作目「スペース・サタン / Saturn 3」(1980)を上映中

f:id:KONTA:20210616174828j:plain


 

 千日前セントラル…思い出深い映画館なのに、実際は上記の映画2作品しか、そこで観ていなかったことに、今回この文を書くために調べてみて気づきました。 中学時代の記憶って鮮明に残るものなのですね~。

 

終わりに、千日前セントラルに関係するものはないかと、自分の古い映画資料をあさってみました。

f:id:KONTA:20200919152509j:plain

ブルース・リー 死亡遊戯 / Game of Death」(1978)と「愛のファミリー / Debolt Family」(1977)の割引券が出てきました。

 

f:id:KONTA:20201120050206j:plain

1975年7月 難波高島屋前の映画の看板 千日前セントラルと梅田スカラ座では「メリーゴーランド / L'ultima neve di primavera」(1973) 、千日前スバル座と三番街シネマ1では「卒業試験 / Es war nicht die Nachtigall」(1974)を上映中。 写真には写っていない右手側に南街会館(「アラン・ドロンのゾロ / Zorro」(1975)を上映中)があります。

 

【魅惑の女優シリーズ】 華麗な関係 [DVD]

【魅惑の女優シリーズ】 華麗な関係 [DVD]

  • 発売日: 2012/06/20
  • メディア: DVD
 
ザ・ドライバー <HDリマスター版> [DVD]

ザ・ドライバー <HDリマスター版> [DVD]

  • 発売日: 2012/10/02
  • メディア: DVD
 
ザ・ドライバー [DVD]

ザ・ドライバー [DVD]

  • 発売日: 2000/08/25
  • メディア: DVD
 
Thomas Mann: Doktor Faustus. DVD
 
ファウスト博士 上 (岩波文庫 赤 434-4)

ファウスト博士 上 (岩波文庫 赤 434-4)

 
ファウスト博士 中 (岩波文庫 赤 434-5)

ファウスト博士 中 (岩波文庫 赤 434-5)

 
ファウスト博士 下 (岩波文庫 赤 434-6)

ファウスト博士 下 (岩波文庫 赤 434-6)

 
ナイル殺人事件 [Blu-ray]

ナイル殺人事件 [Blu-ray]

  • 発売日: 2018/04/27
  • メディア: Blu-ray
 
ナイル殺人事件 [DVD]

ナイル殺人事件 [DVD]

  • 発売日: 2018/04/27
  • メディア: DVD
 
エマニエル夫人 [DVD]

エマニエル夫人 [DVD]

  • 発売日: 2017/06/30
  • メディア: DVD
 
愛のファミリー [DVD]

愛のファミリー [DVD]

  • 発売日: 2013/07/23
  • メディア: DVD
  
日本懐かし映画館大全

日本懐かし映画館大全

  • 作者:大屋 尚浩
  • 発売日: 2017/12/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

  

戎橋劇場 キリン会館4F 女性に愛される名画劇場

 1986年3月まで大阪心斎橋筋戎橋北詰キリン会館4Fにあった映画館、戎橋劇場

 

f:id:KONTA:20200909165052j:plain

戎橋劇場 (戎橋北詰キリン会館4F) 表に掲げられている写真が映画「オーメン / The Omen」(1976)と「タクシードライバー / Taxi Driver」(1976)なので、この2本立プログラムが上映されていた1977年1月8(土)から1月21日(金)の間のいつかに撮影された写真だと思われます。(雑誌「ロードショー」1977年4月号176頁より)

 

上の写真の左手の1階チケット売り場で券を買うともらえたミニ・カレンダー↓で、1977年のものです。鑑賞料金は大人600円、学生500円でした。

f:id:KONTA:20200909170347j:plain

(この記事に掲載したミニ・カレンダーは全て、私自身が当時もらって、現在まで保管しているものです。)

 

 私がこの戎橋劇場で初めて観た映画は1977年の7月、中学2年の時で、「トリュフォーの思春期 / L'Argent de poche」(1976)とスペイン映画(でも英語版の)「熱愛 / A Long Returning / Largo retorno」(1975)の2本立でした。漫画家の竹宮恵子さんが「トリュフォーの思春期」について書いた文章を、中1の時に読んで、それからずっと「思春期」を観たいな~と思っていたのです。併映の「熱愛」はリン・フレデリック(Lynne Frederick)とマーク・バーンズ(Mark Burns 映画「ベニスに死す / Death in Venice」(1971)でアッシェンバッハと論争するアルフレッド役をした俳優)主演の映画で、病にかかった妻を治療法が見つかるまで40年間冷凍保存して待ち続ける夫の、本来は悲しい物語なのですが、演出の安っぽさから“これもしかしてコメディ作品かも?”と思わせるお笑い作品に仕上がっていて、「思春期」よりもキョーレツに印象に残りました。アルミホイルにくるんで人間を冷凍保存とか、40年の時の経過を表すのに、マーク・バーンズが短時間で、老けメイクを色々変えて何度も登場する場面や、妻が若いまま健康に甦ったのはいいものの、今度は40年分老化した夫が死亡…「あなたこれからどうするの?」と訊ねられた妻リン・フレデリックが、こちらを振り返りながら言う、ラストのクサい決め台詞「生きていくわ…」まで、ツッコミどころ満載のカルト映画候補作(ホンマか?)でした。

 リン・フレデリックさんですが、この「熱愛」では、1970年代前半の日本の青春ドラマに出て来そうな“年上のお姉さん”的雰囲気なのですが、同1977年の秋に日本公開された映画「さすらいの航海 / Voyage of the Damned」(1976)では、“この人、本当に同一人物?”と思わせるほど、若々しく気品と透明感のある美人に生まれ変わっていて、大変驚きました。「さすらいの航海」を観た人はみんな、リン・フレデリックに魅了されたのではないかと思うほどの、純白に輝くような美しさでした。

リン・フレデリック(Lynne Frederick 1954 - 1994)

f:id:KONTA:20200909170543j:plain

左から「熱愛」「さすらいの航海」そしてカネボウ化粧品モルフェのCMのリン・フレデリック

 

1977年にここ戎橋劇場で観た他の作品は「愛よもう一度 / Si c'était à refaire」(1976)、「タクシードライバー / Taxi Driver」(1976)、「エアポート'77 / バミューダからの脱出 / Airport '77」(1977)、「続フレンズ / Paul and Michelle」(1974)、「ブラザー・サン シスター・ムーン / Brother Sun Sister Moon / Fratello sole, sorella luna」(1972)でした。 「愛の妖精 アニー・ベル / La fine dell'innocenza」(1976)は6月に千日前スバル座でロードショー公開された時からずっと観たかった映画でしたが、結局どの映画館でも観れず、今はDVDを買って持っています(好き!)。

 

(戎橋劇場で観た映画「愛よもう一度」については、下のブログ記事にも:)
1977年の Françoise Hardy フランソワーズ・アルディ

https://k0nta.hatenablog.com/entry/2016/02/06/002431

 

1978年1月の戎橋劇場上映予定は、ミニ・カレンダーではなく、サイズの大きい3つ折りのリーフレットになっています。

f:id:KONTA:20200909170658j:plain

 

 ところで、私が映画を観るようになったキッカケは、中学1年の終わり頃(1977年の3月)、同じクラスの仲の良かった女の子が下の↓マーク・レスター(Mark Lester)のファイルを、学校に持ってきたことでした。 

f:id:KONTA:20200911190756j:plain

このファイルは、  漫画雑誌「りぼん」1972年の11月号の付録だったそうですが、そこに写っているマークがあまりにも可愛らしくて、僕はすぐに夢中になりました。ちょうど前年の1976年5月2日(日)に「小さな恋のメロディ / Melody」(1971)のテレビ初放映があり、日本はトレイシー・ハイド(Tracy Hyde)のブームの真っ最中で、映画雑誌には、マーク・レスターも結構(ついでに)掲載されていて、それで雑誌「ロードショー」「スクリーン」を買い始めました。(ひと月ほどしてその女友達は、このファイルを僕にくれたのです。)

 

f:id:KONTA:20200909170744j:plain

しかし、青年になったマークの新作映画「王子と乞食 / The Prince and The Pauper / Crossed Swords」(1977)がロードショー公開される、その年1977年の秋ごろには、私も移り気なものですね…、マークに替わる私のアイドル、ライアン・オニール(Ryan O'Neal)に心が奪われて、毎日ライアンの事ばかり考えていました(エヘヘ)。

f:id:KONTA:20200909170833j:plain

1978年1月に戎橋劇場で観たのは「ニューヨーク・ニューヨーク / New York, New York」(1977)と「ネットワーク / Network」(1976)の2本立でした。デイヴィッド・ハミルトン(David Hamilton)の「ビリティス / Bilitis」(1977)はここではなく、西梅田大毎地下劇場で観たのですが、

マチュー・カリエール↓(Mathieu Carrière)や 

f:id:KONTA:20200911180705j:plain

ベルナール・ジロドー↑(Bernard Giraudeau 1947 - 2010)などの美しい男優たち、そして映像や音楽も素晴らしく、今でも大好きな作品です。

 

f:id:KONTA:20200909171042j:plain

1978年の2月に観たのは「2300年未来への旅 / Logan's Run」(1976)、「ジェット・ローラー・コースター / Rollercoaster」(1977)です。

 

1977年11月にテレビ放映された「キャバレー / Cabaret」(1972)を観て、マイケル・ヨーク(Michael York)にもすごく惹かれていた時期でした。 

f:id:KONTA:20200911180816j:plain

マリサ・ベレンソン(Marisa Berenson)とパーティーで談笑するマイケル・ヨーク夫妻↑。マイケルはマリサの義理の弟アンソニー・パーキンス(Anthony Perkins 1932 – 1992)とは犬猿の仲だそうで…。二人の間に一体何があったんでしょうね?

 

ジェットコースター爆破犯を演じた 

f:id:KONTA:20200911180905j:plain

キュートで爽やかな好青年、ティモシー・ボトムズ(Timothy Bottoms)君も、大のお気に入りでした。やっぱり美男が好きなんですね…俺。

The Other Side of the Mountain / The Other Side of the Mountain, Part 2 [Blu-ray]

 

この下の4枚は1979年のミニ・カレンダーです。2月と9月の掲載作品は、戎橋劇場では観ていません。どちらもその前の週のプログラムであった、「アイズ / Eyes of Laura Mars」(1978)、「ミッドナイト・エクスプレス / Midnight Express」 (1978)と「ビッグ・ウェンズデー / Big Wednesday」(1978)(←日本公開時、エンド・クレジットに勝手に付け加えられた、日本語で川崎龍介か歌う「こころに海を」に皆一気に興ざめ!)、「アニマル・ハウス / National Lampoon's Animal House 」(1978)の2本立てを観に行った時にもらったものです。 

f:id:KONTA:20200909171155j:plain

「グッバイガール / The Goodbye Girl」(1977)、「結婚しない女 / An Unmarried Woman」(1978)、「天国から来たチャンピオン / Heaven Can Wait」(1978)はここで観ました。鑑賞料金は大人700円、学生600円に値上げされたんですね。

 

ミッドナイト・エクスプレス」と言えばやはり、このシャワー・シーンでしょう!!(きゃ) 

f:id:KONTA:20200911181043j:plain

Erich (Norbert Weisser) & Billy (Brad Davis) Midnight Express 1978

 

バーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)の愛人ジョン・ピータース(Jon Peters)のプロデュース作品 「アイズ」は、すごく面白くなりえた映画だったのに残念な仕上がりに終わりましたね。フェイ・ダナウェイ(Faye Dunaway)の相手役が最初候補になっていた魔性の美貌ヘルムート・バーガー(Helmut Berger)だったなら、どんなにハマったでしょう!!(ヘルムート様はサイコキラー役が得意なのよ~)

f:id:KONTA:20200911181228j:plain

でも「アイズ」はサントラ・アルバムは好きです。日本で未DVD化の大傑作「ミスター・グッドバーを探して / Looking for Mr. Goodbar」(1977)でも素晴らしテーマ曲を書いたアーティ・ケーン(Artie Kane)がスコアを担当、バーブラが歌う主題歌(←1976年にL.A. JETSというグループがゲイリー・クラインのプロデュースでシングル発売していたPRISONER Captured By Your Eyesのカバー・ヴァージョン)や当時の素敵なディスコ・ヒット曲も収録されています。

L. A. Jets - Prisoner (Captured by your Eyes)

https://www.youtube.com/watch?v=sZpsnvqblq0

 上の画像の文は「アイズ」サントラLPのライナー・ノーツからです。カルヴァン・クライン(Calvin Klein)の「アイズ」カメオ出演場面が昔から気になっていたので、持っているVHSで探してみました。

 

f:id:KONTA:20200911181307j:plain

おぉ、確かに出演してます。映画が始まって10分ぐらいのパーティ場面で見つけました。画像の一番左端、これカルヴァン・クラインですよね~。映るのは1秒ぐらいです。そういえば、カルヴァン・クライン・ジーンズ…私も持ってました~。初老の皆さん、ブルック・シールズ(Brooke Shields)のCM、憶えていますか?おまけにジェフリー・ビーン(Geoffrey Beene)・ジーンズも持っていたことを今思い出しました。

 

カルヴァン・クライン・ジーンズはこれだ!

f:id:KONTA:20200912034338j:plain

Brooke Shields Calvin Klein Jeans

 

1980年はカレンダー2枚 、大人800円、学生700円の鑑賞料になりました。

f:id:KONTA:20200909171340j:plain

「結婚ゲーム / Starting Over」(1979)、「わが心のジェニファー / If Ever I See You Again」(1979)、「ヘアー / Hair」(1979)、「ヤング・ゼネレーション / Breaking Away」(1979)を観ました。「ヘアー」は映画化が遅すぎましたね(残念!)。「ヤング・ゼネレーション」はいい映画でした。

 

f:id:KONTA:20200911181355j:plain

「結婚ゲーム」は魅力的な3人の俳優を生かせなかった全くの失敗作ですが、ステファニー・ミルズ(Stephanie Mills)が歌う主題歌「Better Than Ever」(マーヴィン・ハムリッシュ Marvin Hamlisch作曲・キャロル・ベイヤー・セイガーCarole Bayer Sager 作詞)だけは大好きな作品。「わが心のジェニファー」は映画も音楽も、哀愁を帯びさりげなく良かったです。製作・監督・脚本・音楽・主演のジョー・ブルックス(Joe Brooks / Joseph Brooks)がその後、数々の婦女暴行(いわゆるキャスティング・カウチで…)を繰り返し最後に自殺したと知った時は、ビックリしました!映画「マイ・ソング / You Light Up My Life」(1977)の主題歌「You Light Up My Life / 恋するデビー」の印税は今はどなたが受け取っているのでしょうね?同じくジョーが書いた映画「ジェレミー / Jeremy」(1973)の主題歌「哀しみのジェレミー / Blue Balloon (The Hourglass Song / Before the Sand Has Run Out of The Hour-Glass)」も名曲でした。 

 

f:id:KONTA:20201101164037j:plain

昼の戎橋キリン会館 戎橋劇場、1980年12月3日(水)~12月12日(金)上映のプログラム「13日の金曜日 / Friday the 13th」(1980)と「バトルクリーク・ブロー / The Big Braw」(1980)のタイトルが、ビル右上の横幕(バナー Banner)に読み取れます。

 

↓1980年の戎橋劇場の看板が、キリンレモンの文字の右に見えます。

f:id:KONTA:20210226233255j:plain

ATG映画「ガキ帝国」(1981)の一場面より

 

この後、私は大学受験の勉強に集中し(ホンマか?)、1年半はまったく映画館で映画を観るのを休止していた時期を含め、1981~1983年は戎橋劇場に行くことはなかったです。

 

1984年の新聞広告、大人900円、学生据え置き700円です。 

f:id:KONTA:20200909171632j:plain

この↑切り抜きは、私の映画資料の引き出しに入っていたのですが、どれも観にいっていません。「郵便配達は二度ベルを鳴らす / The Postman Always Rings Twice」(1981)と「U・ボート / Das Boot」(1981)が、たぶん観たかったのだと思います。

 

f:id:KONTA:20200909171709j:plain

1984年12月、名画フェアの「地上より永遠に / From Here to Eternity」(1953)、「ワン・フロム・ザ・ハート / One from the Heart」(1982)を、数年振りに戎橋劇場へ観に行きました。 

 

1985年の新聞広告、「開場27周年記念」の時期なのですね。

f:id:KONTA:20200909171839j:plain

これはたぶん「フランス名作映画フェア」に惹かれて切り取ったものかもしれません。結局、戎橋劇場では観ませんでした。

 

f:id:KONTA:20201101165640j:plain

夜の戎橋キリン会館 1985年11月2日(土)、戎橋劇場では「死刑台のエレベーター / Ascenseur pour l'échafaud」(1958)と「第三の男 / The Third Man」(1949)を上映中

 

 そして翌1986年の3月をもって、キリン会館・戎橋劇場閉館となりました。ふたつ上の画像、1985年の新聞広告にマイケル・ダグラス(Michael Douglas)が写っていますが、このキリン会館の跡に建て替えられた「キリンプラザ大阪」で数年後、マイケルの出演する映画「ブラック・レイン / Black Rain」(1989)の一場面が撮影されたことを考えると、なんだか少し不思議な気持ちになりますね~(俺だけかしら?)。

 

f:id:KONTA:20201101163640j:plain

1987年4月、解体中の戎橋キリン会館 

 

その後、キリンプラザ大阪には 

f:id:KONTA:20200911181541j:plain

1989年8月 David Hockney デイヴィッド・ホックニー

1999年3月 ドキュメンタリー映画「ピエール&ジル:ラブ・ストーリー / Pierre & Gilles, Love Stories」(1997)、「ボーイ・ジョージの肖像 / Boy Next Door? A Portrait of Boy George」(1993)

などを見に行ったぐらいでした。そのキリンプラザ大阪も2008年に解体され、今はもうありません。

 

写真↓左手に KPO キリンプラザ大阪

f:id:KONTA:20210221135822j:plain

福島明博氏の↑「写真集 大阪百景」(1993年 大月書店)の021頁より。とても素敵な写真集です。ぜひ購入をお勧めします。

写真集 大阪百景

 

この下の↓画像だけネットで見つけてきました。1968年の戎橋だそうです。アップして下さった方、勝手に頂いてすみません…。あまりにも良い写真なので、ここで紹介させてくださいね~。こちら↓から頂きました:

https://twitter.com/blackxjs/status/874027052344541184

f:id:KONTA:20200912042155j:plain

戎橋キリン会館 ここの4階に戎橋劇場がありました。

 

 そしてやっぱり年とると昔好きだったものに戻るんでしょうかね…。

 

2019年発行“スクリーン・アーカイブズ「小さな恋のメロディ」トレーシー・ハイド&マーク・レスター復刻号”買ってしまいました!(左)f:id:KONTA:20200912153955j:plain

右は雑誌「ミスター・パートナー / mr partner」2012年12月号(No.291)。2012年現在のマークとトレイシー・ハイドの姿をカラー写真で掲載。二人のインタビューももちろん収録されています!!記事は全11頁です。

“トレーシー・ハイド (メロディ役) が語る「メロディ・フェア Melody Fair ~ 小さな恋のメロディ~」”↓

https://www.youtube.com/watch?v=NBZvHcCDZZ8

 

1980年11月、戎橋を渡る人々

f:id:KONTA:20210617114718j:plain

背景にはキリン会館が…

 

f:id:KONTA:20201116155539j:plain

映画「ブラック・レイン / Black Rain」(1989年)の中の KPO キリンプラザ大阪

 

2021年1月25(月)現在の戎橋↓

f:id:KONTA:20210721153717j:plain

上写真の左手が、昔キリン会館があった場所 この写真では1階に薬局「サンドラッグ」が見えます。

 

f:id:KONTA:20201116155704j:plain

2020年9月24日(木)の 住友商事心斎橋ビル かつて戎橋劇場がここに…

 

2021年8月7日追記:
戎橋劇場 その2 キリン会館4F 女性に愛される名画劇場
https://k0nta.hatenablog.com/entry/2021/08/07/033828
↑に、戎橋劇場に関する雑誌記事をアップしました。

 

 

mr partner (ミスター パートナー) 2012年 12月号 [雑誌]

mr partner (ミスター パートナー) 2012年 12月号 [雑誌]

  • 発売日: 2012/11/09
  • メディア: 雑誌
  
昭和の大阪 昭和20~50年

昭和の大阪 昭和20~50年

  • 発売日: 2012/07/30
  • メディア: 単行本
 
昭和の大阪II: 昭和50~平成元年

昭和の大阪II: 昭和50~平成元年

  • 発売日: 2014/03/28
  • メディア: 単行本
 

 

1970年代~1980年代 大阪ミナミ の 映画館

 前回、南街劇場に関連したことをちょっと書きましたが、それで懐かしい気持ちになりその後、昔の映画館について色々検索しました。思ったより当時の写真はネットにないのですね。デジカメやスマホ発売前の時代、今現在のように何でも気軽にカメラに収めることは、当然ありませんでした。写真を撮っても人物中心で、建物だけを一般人が撮るというのは少なかったように思います。

 それで、持っている古い雑誌などを調べて、いくつか当時の映画館の写真を見つけましたので、今後何回かにわけて掲載したいと思います。思い出に浸れるかもしれません。

 写真掲載の前に今回はまず、当時のミナミの映画館所在地の全体像を、簡単な地図でどうぞ!下のイラストは、雑誌「ロードショー」1972年6月号に折込で掲載された加藤義明氏による「イラスト シネマップ 大阪」のみなみの部分です。1972年(昭和47年)5月13日の有名な千日前大火災以前に描かれたものらしく地図の中にまだ千日デパートがあります(地下に、恐怖の地下室だって…)。大劇名画座の右手に「サタン」というお化け屋敷のような絵が見えますが、こんな娯楽施設(お化け喫茶だったとか…)があったとはまったく知りませんでした。すぐに潰れてしまったのでしょうか?矢印は千日会館と大劇の間に伸びていますので、そこに「サタン」があったのですね。


f:id:KONTA:20200906190506j:plain

 

この地域で、私が行った映画館は、地図の上から下の順で言うと、 

戎橋劇場 (戎橋北詰キリン会館4F)

大阪松竹座

道頓堀ピカデリー → 道頓堀浪花座 (1980年の早春ごろに館名が変わったようです。)

道頓堀東映パラス

千日前スバル座

千日会館 (PALAIS OSAKA パレ逢坂ビル地下)

千日前国際劇場

東宝敷島

大劇名画座 (千日前筋大劇ビル4F)

花月シネマ (なんば花月地階)

南街文化 (南街会館6F)

南街スカラ座 (南街会館6F)

南街シネマ (南街会館3F)

南街劇場 (南街会館1F)

千日前セントラル

でした。

 

1973年末頃の大阪のロードショー劇場の所在地↓。映画雑誌「ロードショー」1974年2月号付録「映画手帳 1974」の“データ 1974”の9頁より。

f:id:KONTA:20210311175542j:plain

「なんば大劇場」「なんばロキシー」という映画館があったのですね。千日前辺りが「河原町」という地名だったというのが興味深いです。1982年?に名称変更になったとか…。

 

下↓は南海線難波駅の南海会館の写真です。写真左手が(ここには写っていませんが)南街会館側になります。阪神高速道路ができる以前ですね。

南海会館の西側の壁に「なんばロキシー」「なんば大劇場」「なんば邦映」らしき文字が読み取れます。これらの映画館は、難波駅の改造工事に伴い1973年に閉館されたそうです。

新・大阪モダン建築 -戦後復興からEXPO`70の都市へ-

 

 この下の地図は雑誌「エルマガジン / L magazine」 1986年2月号に掲載された「えるまがCITYマップ」なんばの一部分です。千日会館の場所が間違っていますね。正しくはもうひとブロック下の、マクドナルドの地下になります。上のイラスト地図から10年以上経って、かなり変化が見られます。戎橋のキリン会館4Fにあった戎橋劇場は1986年3月に閉館されました。

 

f:id:KONTA:20200906190558j:plain

 

これらの他に、映画館ではないですが、なんばCITY シティ・スタジオ、なんばCITY グリーン・ホール、なんばCITY メディア・スタジオで、渋めの映画の自主上映会が開かれていました。私は

1981年3月、「俺たちに明日はない / Bonnie and Clyde」(1967)(無料 なんばCITY シティ・スタジオ)やヴィスコンティの「異邦人 / Lo straniero」(1967)の上映会(¥500 なんばCITY グリーン・ホール)

1984年3月、「処女の生血 (ブラッド・フォー・ドラキュラ) / Blood for Dracula」(1974)と「地球に落ちて来た男 / The Man Who Fell to Earth」(1976)の2本立て(¥600 なんばCITY メディア・スタジオ) - <ルードウィヒ上映会Vol.7>

1984年6月、「フェリーニの道化師 / I clowns」(1970)と「アポロンの地獄 / Edipo Re」(1967)の2本立て上映(¥600)と、引き続き同日に開催されたパゾリーニの「奇跡の丘 / Il vangelo secondo Matteo」(1964)の上映会(¥400)(どちらも なんばCITY メディア・スタジオ) - <ルードウィヒ上映会Vol.9>

に行きました。どんな映画好きの方が企画されていたのか、興味深いです。

 

ブラッド・フォー・ドラキュラ / 処女の生血

ブラッド・フォー・ドラキュラ / 処女の生血

  • 発売日: 2009/06/05
  • メディア: DVD
 
地球に落ちて来た男 [DVD]

地球に落ちて来た男 [DVD]

  • 発売日: 2019/09/06
  • メディア: DVD
 
アポロンの地獄 [Blu-ray]

アポロンの地獄 [Blu-ray]

  • 発売日: 2015/08/07
  • メディア: Blu-ray
 
奇跡の丘 [Blu-ray]

奇跡の丘 [Blu-ray]

  • 発売日: 2015/08/07
  • メディア: Blu-ray