Kontaの歓びの毒牙

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千日前セントラル 難波高島屋東 道具屋筋内

なんば高島屋の東、道具屋筋内に2006年9月まであった映画館、千日前セントラル。

 

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千日前セントラル 雑誌「ロードショー」1977年12月号256頁に掲載された写真。左手前のポスターから、上映中作品は読み取れませんが、1977年頃の写真だと思われます。 RS劇場めぐり52

 

  私が中学生の時好きだった女優は、バーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)は別格として、ジャクリーン・ビセット(Jacqueline Bisset)、ミア・ファロー(Mia Farrow)、シルビア・クリステル(Sylvia Kristel 1952 - 2012)などでした。1977年の5月15日の「日曜洋画劇場」(テレビ朝日 21:00~)でシルビアの出世作「エマニエル夫人 / Emmanuelle」(1974)のテレビ初放映(シルビアは山口いづみさんが吹き替え)があり、それももちろん観ました。そしてその同じ1977年の同じ5月、シルビアの新作映画「華麗な関係 / Une femme fidèle」(1976)が公開されるというので、テレビや一般の雑誌でも結構話題にもなっていて、ぜひとも観たいと思い、ロードショー公開時に観に行ったのです。

 

(左)Jさんが僕にプレゼントして下さったジェットリンク発売の「華麗な関係」DVD

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(右)映画を観てすぐ購入した「華麗な関係」のサントラ・シングル盤、定価600円でした。

  

 大阪難波でこの映画をやっていたのが、道具屋筋の千日前セントラルでした。初めてそこへ行く中学2年生にとっては、かなりわかりにくい場所でしたが、迷いながらもなんとか見つけて、映画館に入ることができました。観る予定の回はもう始まっていて、場内に入った時、映画の場面は、散歩に行ったマチルド(シルビア・クリステル)をシャルル(ジョン・フィンチ)が探しに出て、雨の草原の中で二人が出会うところだったのを覚えています。映画上映が全入れ替え制ではなく、次の回で見逃した場面まで改めて観るということも出来たゆるやかな良い時代でした。

 この映画のシルビアが美しいのはもちろんなのですが、相手役のシャルルを演じたジョン・フィンチ(Jon Finch 1942 – 2012)もすごく美男で素敵で、映画自体の一般的評価は決して高くはないのですが、私は結構楽しめましたし、好きな思い出の映画です。そして、まあ!ジョンは映画の中で美しい全裸を披露してくださいま~す。当時映画館ではもちろんボカシがありましたが、2012年にジェットリンクから発売されたDVDでは、一切モザイクなしですよ!ちょっと奥さん、聞きました!?

 

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ジョンはこの後、こちらを向きますよぉ~(きゃあ~)。

 

男前の英国俳優、ジョン・フィンチ

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Jon Finch (1942 – 2012)

 

カメラマンさん、もっとズームでお願いしま~す! 

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こちらは「華麗な関係」パンフレット掲載のジョン・フィンチのプロフィール

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ジョン・シュレシンジャーロマン・ポランスキーアルフレッド・ヒッチコックロジェ・ヴァディムら名監督の作品に出演。ジョンは、とんでもない失敗作映画「ベルサイユのばら / Lady Oscar」(1979)でオスカル様を演じたカトリオーナ・マッコール(Catriona MacColl)と、1982(1980?)年から1987年の間結婚していて、二人の間に子供がひとりいるとのことです。

 

これ↓は映画「ナイル殺人事件 / Death on the Nile」(1978) のジョン。スタイルもいいですね~。

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ジョン・フィンチ(Jon Finch) & オリヴィア・ハッセー(オリビア・ハッシー Olivia Hussey)
 

 ところで、私はドイツの作家トーマス・マン(Thomas Mann 1875 - 1955)が大好きなのですが、マンの晩年の長編小説「ファウストゥス博士 / ファウスト博士/ Doktor Faustus」が1982年に西ドイツで映像化されていて(1話約60分×3の3部構成で全長177分)、この映像化作品で主人公の作曲家アードリアーン・レーヴァーキューン(Adrian Leverkühn) を演じているのが、なんとこのジョン・フィンチなのです。

 

アードリアーン・レーヴァーキューンとヘタエラ・エスメラルダの出会いの場面

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 Adrian Leverkühn (Jon Finch) und Hetaera Esmeralda (Marie Lebée) 「ファウストゥス博士」

 

アードリアーンと同性愛関係となるヴァイオリニスト、ルードルフ・シュヴェールトフェーガー(ルーディ)(下左) Rudi / Rudolf Schwertfeger (Siemen Rühaak)

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アードリアーンが短期間ながら結婚を考える女性、フランス系スイス人の舞台芸術家(装置家)マリー・ゴドー嬢(上右) Marie Godeau (Marie-Hélène Breillat)

 

アードリアーンと美しい少年、5歳の甥のエヒョー(ネポムク)

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Adrian Leverkühn (Jon Finch) und Echo (Armel Loriquet) 「ファウストゥス博士」

 

 この映像化作品の「Doktor Faustus」ですが、映画ではどうしても出来事中心の描かれ方になってしまうので、原作にある深みはありませんが、主演のジョンはやはり魅力的ですし、思ったほど悪い出来ではなかったです。特に最初の2話はかなりいいレベルまでいっているように思います。最終話で急に失速していく気がしますが…。やはり音楽的要素の考察をさらりと流してしまうと、通俗的な話の印象だけで終わってしまうのは仕方がないのでしょうね。でもマンの原作が好きな方なら、この映画を観たらきっとまた原作を読み直したくなると思いますよ。私は大学時代の1984年に、H先生という方のマンの「ファウストゥス博士」の音楽についての講義を受講していたのですが、この映画を観た後、その当時のノートを取り出して再ひじっくり読み直しました~。

 

千日前セントラル→ジョン・フィンチ→トーマス・マンの「Doktor Faustus」と、どんどん話がそれてしまいました(えへ)。

 

 千日前セントラルに話をもどしますと、次にここで観た映画はライアン・オニール(Ryan O'Neal)主演の「ザ・ドライバー / The Driver」(1978)でした。この映画はどうしても早く観たくて、新聞に載っていた試写会招待の案内に多数枚の葉書を書いて当選し、実は1978年の8月に試写会でもう既に3度(SABホールで2回、ABCホールで1回)観ていたのですが、やはり劇場公開初日にも、4度目ですが観に行きました。それほどライアンが大好きだった時期なんで~す。

 

映画「ザ・ドライバー」の大阪劇場公開初日は1978年9月9日(土)でした。 当日一般1300円、学生1100円、前売特別鑑賞券1000円、学生前売券900円と記載されています↓。

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これ↑は公開5日前に朝日新聞に載った広告で、僕のライアン・オニールのファイルから取り出しました。安井かずみさん、服部まこさん、星野一義さんらのコメントも見えます。

 

 公開初日、この「ザ・ドライバー」を観に行くのに、僕が家の近くの駅に着いたら、当時中3の同じクラスで、僕と仲が良かったF君がホームにいました。今からライアンの映画を観に行くという話をしたら、F君もぜひ観たい!というので、一緒に千日前セントラルに向かい、隣同士の席で並んで観ました。このF君はとても興味深い人物で、成績は学年一(高校卒業後は東京大学に進学しました)、ピアノもとても上手で、音楽の趣味も、クイーン、ポール・サイモンザ・バンド…というぐあいでした。僕と同じくゲイ・ネタの話が大好きで、雑誌「JUNE」がまだ「COMIC JUN」だった時代の1978年秋の創刊号を買って、学校に持って来たりして、僕も見せてもらいました(ヘヘヘ)。創刊されて間もない雑誌「ポパイ」を知ったのもF君のおかげでした。F君、ゲイまたはバイだったのかなと…今考えると思います。そういう友人が近くにいた中学時代の私は、とても幸運でしたね。

 

 映画「ザ・ドライバー」ですが、9月9日に始まり9月末の新聞の広告には“空前の大ヒット!堂々10月へロング・ラン!” という大げさな表現が読めるので、結構ヒットしていたと思いますし、当時から評価も低くない作品でした。今でこそ‘ライアン・オニール=ダメ暴力男’の認識が一般に広く浸透していますが、1970年代の10年間は、最も旬のハンサム超売れっ子人気俳優だったのですよ。

 

イザベル・アジャーニ(Isabelle Adjani) & ライアン・オニール(Ryan O'Neal)

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ライアンのこの爽やかで優しそうな笑顔にアナタもだまされましたか? 

 

 はい、私は1977年の夏~1979年の約2年半の間、ライアン・オニールのハンサムな容姿に、ずっとだまされていました!!(ケケケ)

ライアン・オニール 1970/80年代雑誌切り抜き 32枚セット

 

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1980年11月、大阪ミナミを歩く人々。千日前セントラルではファラ・フォーセットの主演3作目「スペース・サタン / Saturn 3」(1980)を上映中

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 千日前セントラル…思い出深い映画館なのに、実際は上記の映画2作品しか、そこで観ていなかったことに、今回この文を書くために調べてみて気づきました。 中学時代の記憶って鮮明に残るものなのですね~。

 

終わりに、千日前セントラルに関係するものはないかと、自分の古い映画資料をあさってみました。

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ブルース・リー 死亡遊戯 / Game of Death」(1978)と「愛のファミリー / Debolt Family」(1977)の割引券が出てきました。

 

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1975年7月 難波高島屋前の映画の看板 千日前セントラルと梅田スカラ座では「メリーゴーランド / L'ultima neve di primavera」(1973) 、千日前スバル座と三番街シネマ1では「卒業試験 / Es war nicht die Nachtigall」(1974)を上映中。 写真には写っていない右手側に南街会館(「アラン・ドロンのゾロ / Zorro」(1975)を上映中)があります。

 

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