Kontaの歓びの毒牙

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戎橋劇場 キリン会館4F 女性に愛される名画劇場

 1986年3月まで大阪心斎橋筋戎橋北詰キリン会館4Fにあった映画館、戎橋劇場

 

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戎橋劇場 (戎橋北詰キリン会館4F) 表に掲げられている写真が映画「オーメン / The Omen」(1976)と「タクシードライバー / Taxi Driver」(1976)なので、この2本立プログラムが上映されていた1977年1月8(土)から1月21日(金)の間のいつかに撮影された写真だと思われます。(雑誌「ロードショー」1977年4月号176頁より)

 

上の写真の左手の1階チケット売り場で券を買うともらえたミニ・カレンダー↓で、1977年のものです。鑑賞料金は大人600円、学生500円でした。

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(この記事に掲載したミニ・カレンダーは全て、私自身が当時もらって、現在まで保管しているものです。)

 

 私がこの戎橋劇場で初めて観た映画は1977年の7月、中学2年の時で、「トリュフォーの思春期 / L'Argent de poche」(1976)とスペイン映画(でも英語版の)「熱愛 / A Long Returning / Largo retorno」(1975)の2本立でした。漫画家の竹宮恵子さんが「トリュフォーの思春期」について書いた文章を、中1の時に読んで、それからずっと「思春期」を観たいな~と思っていたのです。併映の「熱愛」はリン・フレデリック(Lynne Frederick)とマーク・バーンズ(Mark Burns 映画「ベニスに死す / Death in Venice」(1971)でアッシェンバッハと論争するアルフレッド役をした俳優)主演の映画で、病にかかった妻を治療法が見つかるまで40年間冷凍保存して待ち続ける夫の、本来は悲しい物語なのですが、演出の安っぽさから“これもしかしてコメディ作品かも?”と思わせるお笑い作品に仕上がっていて、「思春期」よりもキョーレツに印象に残りました。アルミホイルにくるんで人間を冷凍保存とか、40年の時の経過を表すのに、マーク・バーンズが短時間で、老けメイクを色々変えて何度も登場する場面や、妻が若いまま健康に甦ったのはいいものの、今度は40年分老化した夫が死亡…「あなたこれからどうするの?」と訊ねられた妻リン・フレデリックが、こちらを振り返りながら言う、ラストのクサい決め台詞「生きていくわ…」まで、ツッコミどころ満載のカルト映画候補作(ホンマか?)でした。

 リン・フレデリックさんですが、この「熱愛」では、1970年代前半の日本の青春ドラマに出て来そうな“年上のお姉さん”的雰囲気なのですが、同1977年の秋に日本公開された映画「さすらいの航海 / Voyage of the Damned」(1976)では、“この人、本当に同一人物?”と思わせるほど、若々しく気品と透明感のある美人に生まれ変わっていて、大変驚きました。「さすらいの航海」を観た人はみんな、リン・フレデリックに魅了されたのではないかと思うほどの、純白に輝くような美しさでした。

リン・フレデリック(Lynne Frederick 1954 - 1994)

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左から「熱愛」「さすらいの航海」そしてカネボウ化粧品モルフェのCMのリン・フレデリック

 

1977年にここ戎橋劇場で観た他の作品は「愛よもう一度 / Si c'était à refaire」(1976)、「タクシードライバー / Taxi Driver」(1976)、「エアポート'77 / バミューダからの脱出 / Airport '77」(1977)、「続フレンズ / Paul and Michelle」(1974)、「ブラザー・サン シスター・ムーン / Brother Sun Sister Moon / Fratello sole, sorella luna」(1972)でした。 「愛の妖精 アニー・ベル / La fine dell'innocenza」(1976)は6月に千日前スバル座でロードショー公開された時からずっと観たかった映画でしたが、結局どの映画館でも観れず、今はDVDを買って持っています(好き!)。

 

(戎橋劇場で観た映画「愛よもう一度」については、下のブログ記事にも:)
1977年の Françoise Hardy フランソワーズ・アルディ

https://k0nta.hatenablog.com/entry/2016/02/06/002431

 

1978年1月の戎橋劇場上映予定は、ミニ・カレンダーではなく、サイズの大きい3つ折りのリーフレットになっています。

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 ところで、私が映画を観るようになったキッカケは、中学1年の終わり頃(1977年の3月)、同じクラスの仲の良かった女の子が下の↓マーク・レスター(Mark Lester)のファイルを、学校に持ってきたことでした。 

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このファイルは、  漫画雑誌「りぼん」1972年の11月号の付録だったそうですが、そこに写っているマークがあまりにも可愛らしくて、僕はすぐに夢中になりました。ちょうど前年の1976年5月2日(日)に「小さな恋のメロディ / Melody」(1971)のテレビ初放映があり、日本はトレイシー・ハイド(Tracy Hyde)のブームの真っ最中で、映画雑誌には、マーク・レスターも結構(ついでに)掲載されていて、それで雑誌「ロードショー」「スクリーン」を買い始めました。(ひと月ほどしてその女友達は、このファイルを僕にくれたのです。)

 

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しかし、青年になったマークの新作映画「王子と乞食 / The Prince and The Pauper / Crossed Swords」(1977)がロードショー公開される、その年1977年の秋ごろには、私も移り気なものですね…、マークに替わる私のアイドル、ライアン・オニール(Ryan O'Neal)に心が奪われて、毎日ライアンの事ばかり考えていました(エヘヘ)。

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1978年1月に戎橋劇場で観たのは「ニューヨーク・ニューヨーク / New York, New York」(1977)と「ネットワーク / Network」(1976)の2本立でした。デイヴィッド・ハミルトン(David Hamilton)の「ビリティス / Bilitis」(1977)はここではなく、西梅田大毎地下劇場で観たのですが、

マチュー・カリエール↓(Mathieu Carrière)や 

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ベルナール・ジロドー↑(Bernard Giraudeau 1947 - 2010)などの美しい男優たち、そして映像や音楽も素晴らしく、今でも大好きな作品です。

 

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1978年の2月に観たのは「2300年未来への旅 / Logan's Run」(1976)、「ジェット・ローラー・コースター / Rollercoaster」(1977)です。

 

1977年11月にテレビ放映された「キャバレー / Cabaret」(1972)を観て、マイケル・ヨーク(Michael York)にもすごく惹かれていた時期でした。 

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マリサ・ベレンソン(Marisa Berenson)とパーティーで談笑するマイケル・ヨーク夫妻↑。マイケルはマリサの義理の弟アンソニー・パーキンス(Anthony Perkins 1932 – 1992)とは犬猿の仲だそうで…。二人の間に一体何があったんでしょうね?

 

ジェットコースター爆破犯を演じた 

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キュートで爽やかな好青年、ティモシー・ボトムズ(Timothy Bottoms)君も、大のお気に入りでした。やっぱり美男が好きなんですね…俺。

The Other Side of the Mountain / The Other Side of the Mountain, Part 2 [Blu-ray]

 

この下の4枚は1979年のミニ・カレンダーです。2月と9月の掲載作品は、戎橋劇場では観ていません。どちらもその前の週のプログラムであった、「アイズ / Eyes of Laura Mars」(1978)、「ミッドナイト・エクスプレス / Midnight Express」 (1978)と「ビッグ・ウェンズデー / Big Wednesday」(1978)(←日本公開時、エンド・クレジットに勝手に付け加えられた、日本語で川崎龍介か歌う「こころに海を」に皆一気に興ざめ!)、「アニマル・ハウス / National Lampoon's Animal House 」(1978)の2本立てを観に行った時にもらったものです。 

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「グッバイガール / The Goodbye Girl」(1977)、「結婚しない女 / An Unmarried Woman」(1978)、「天国から来たチャンピオン / Heaven Can Wait」(1978)はここで観ました。鑑賞料金は大人700円、学生600円に値上げされたんですね。

 

ミッドナイト・エクスプレス」と言えばやはり、このシャワー・シーンでしょう!!(きゃ) 

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Erich (Norbert Weisser) & Billy (Brad Davis) Midnight Express 1978

 

バーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)の愛人ジョン・ピータース(Jon Peters)のプロデュース作品 「アイズ」は、すごく面白くなりえた映画だったのに残念な仕上がりに終わりましたね。フェイ・ダナウェイ(Faye Dunaway)の相手役が最初候補になっていた魔性の美貌ヘルムート・バーガー(Helmut Berger)だったなら、どんなにハマったでしょう!!(ヘルムート様はサイコキラー役が得意なのよ~)

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でも「アイズ」はサントラ・アルバムは好きです。日本で未DVD化の大傑作「ミスター・グッドバーを探して / Looking for Mr. Goodbar」(1977)でも素晴らしテーマ曲を書いたアーティ・ケーン(Artie Kane)がスコアを担当、バーブラが歌う主題歌(←1976年にL.A. JETSというグループがゲイリー・クラインのプロデュースでシングル発売していたPRISONER Captured By Your Eyesのカバー・ヴァージョン)や当時の素敵なディスコ・ヒット曲も収録されています。

L. A. Jets - Prisoner (Captured by your Eyes)

https://www.youtube.com/watch?v=sZpsnvqblq0

 上の画像の文は「アイズ」サントラLPのライナー・ノーツからです。カルヴァン・クライン(Calvin Klein)の「アイズ」カメオ出演場面が昔から気になっていたので、持っているVHSで探してみました。

 

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おぉ、確かに出演してます。映画が始まって10分ぐらいのパーティ場面で見つけました。画像の一番左端、これカルヴァン・クラインですよね~。映るのは1秒ぐらいです。そういえば、カルヴァン・クライン・ジーンズ…私も持ってました~。初老の皆さん、ブルック・シールズ(Brooke Shields)のCM、憶えていますか?おまけにジェフリー・ビーン(Geoffrey Beene)・ジーンズも持っていたことを今思い出しました。

 

カルヴァン・クライン・ジーンズはこれだ!

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Brooke Shields Calvin Klein Jeans

 

1980年はカレンダー2枚 、大人800円、学生700円の鑑賞料になりました。

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「結婚ゲーム / Starting Over」(1979)、「わが心のジェニファー / If Ever I See You Again」(1979)、「ヘアー / Hair」(1979)、「ヤング・ゼネレーション / Breaking Away」(1979)を観ました。「ヘアー」は映画化が遅すぎましたね(残念!)。「ヤング・ゼネレーション」はいい映画でした。

 

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「結婚ゲーム」は魅力的な3人の俳優を生かせなかった全くの失敗作ですが、ステファニー・ミルズ(Stephanie Mills)が歌う主題歌「Better Than Ever」(マーヴィン・ハムリッシュ Marvin Hamlisch作曲・キャロル・ベイヤー・セイガーCarole Bayer Sager 作詞)だけは大好きな作品。「わが心のジェニファー」は映画も音楽も、哀愁を帯びさりげなく良かったです。製作・監督・脚本・音楽・主演のジョー・ブルックス(Joe Brooks / Joseph Brooks)がその後、数々の婦女暴行(いわゆるキャスティング・カウチで…)を繰り返し最後に自殺したと知った時は、ビックリしました!映画「マイ・ソング / You Light Up My Life」(1977)の主題歌「You Light Up My Life / 恋するデビー」の印税は今はどなたが受け取っているのでしょうね?同じくジョーが書いた映画「ジェレミー / Jeremy」(1973)の主題歌「哀しみのジェレミー / Blue Balloon (The Hourglass Song / Before the Sand Has Run Out of The Hour-Glass)」も名曲でした。 

 

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昼の戎橋キリン会館 戎橋劇場、1980年12月3日(水)~12月12日(金)上映のプログラム「13日の金曜日 / Friday the 13th」(1980)と「バトルクリーク・ブロー / The Big Braw」(1980)のタイトルが、ビル右上の横幕(バナー Banner)に読み取れます。

 

↓1980年の戎橋劇場の看板が、キリンレモンの文字の右に見えます。

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ATG映画「ガキ帝国」(1981)の一場面より

 

この後、私は大学受験の勉強に集中し(ホンマか?)、1年半はまったく映画館で映画を観るのを休止していた時期を含め、1981~1983年は戎橋劇場に行くことはなかったです。

 

1984年の新聞広告、大人900円、学生据え置き700円です。 

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この↑切り抜きは、私の映画資料の引き出しに入っていたのですが、どれも観にいっていません。「郵便配達は二度ベルを鳴らす / The Postman Always Rings Twice」(1981)と「U・ボート / Das Boot」(1981)が、たぶん観たかったのだと思います。

 

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1984年12月、名画フェアの「地上より永遠に / From Here to Eternity」(1953)、「ワン・フロム・ザ・ハート / One from the Heart」(1982)を、数年振りに戎橋劇場へ観に行きました。 

 

1985年の新聞広告、「開場27周年記念」の時期なのですね。

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これはたぶん「フランス名作映画フェア」に惹かれて切り取ったものかもしれません。結局、戎橋劇場では観ませんでした。

 

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夜の戎橋キリン会館 1985年11月2日(土)、戎橋劇場では「死刑台のエレベーター / Ascenseur pour l'échafaud」(1958)と「第三の男 / The Third Man」(1949)を上映中

 

 そして翌1986年の3月をもって、キリン会館・戎橋劇場閉館となりました。ふたつ上の画像、1985年の新聞広告にマイケル・ダグラス(Michael Douglas)が写っていますが、このキリン会館の跡に建て替えられた「キリンプラザ大阪」で数年後、マイケルの出演する映画「ブラック・レイン / Black Rain」(1989)の一場面が撮影されたことを考えると、なんだか少し不思議な気持ちになりますね~(俺だけかしら?)。

 

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1987年4月、解体中の戎橋キリン会館 

 

その後、キリンプラザ大阪には 

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1989年8月 David Hockney デイヴィッド・ホックニー

1999年3月 ドキュメンタリー映画「ピエール&ジル:ラブ・ストーリー / Pierre & Gilles, Love Stories」(1997)、「ボーイ・ジョージの肖像 / Boy Next Door? A Portrait of Boy George」(1993)

などを見に行ったぐらいでした。そのキリンプラザ大阪も2008年に解体され、今はもうありません。

 

写真↓左手に KPO キリンプラザ大阪

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福島明博氏の↑「写真集 大阪百景」(1993年 大月書店)の021頁より。とても素敵な写真集です。ぜひ購入をお勧めします。

写真集 大阪百景

 

この下の↓画像だけネットで見つけてきました。1968年の戎橋だそうです。アップして下さった方、勝手に頂いてすみません…。あまりにも良い写真なので、ここで紹介させてくださいね~。こちら↓から頂きました:

https://twitter.com/blackxjs/status/874027052344541184

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戎橋キリン会館 ここの4階に戎橋劇場がありました。

 

 そしてやっぱり年とると昔好きだったものに戻るんでしょうかね…。

 

2019年発行“スクリーン・アーカイブズ「小さな恋のメロディ」トレーシー・ハイド&マーク・レスター復刻号”買ってしまいました!(左)f:id:KONTA:20200912153955j:plain

右は雑誌「ミスター・パートナー / mr partner」2012年12月号(No.291)。2012年現在のマークとトレイシー・ハイドの姿をカラー写真で掲載。二人のインタビューももちろん収録されています!!記事は全11頁です。

“トレーシー・ハイド (メロディ役) が語る「メロディ・フェア Melody Fair ~ 小さな恋のメロディ~」”↓

https://www.youtube.com/watch?v=NBZvHcCDZZ8

 

1980年11月、戎橋を渡る人々

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背景にはキリン会館が…

 

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映画「ブラック・レイン / Black Rain」(1989年)の中の KPO キリンプラザ大阪

 

2021年1月25(月)現在の戎橋↓

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上写真の左手が、昔キリン会館があった場所 この写真では1階に薬局「サンドラッグ」が見えます。

 

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2020年9月24日(木)の 住友商事心斎橋ビル かつて戎橋劇場がここに…

 

2021年8月7日追記:
戎橋劇場 その2 キリン会館4F 女性に愛される名画劇場
https://k0nta.hatenablog.com/entry/2021/08/07/033828
↑に、戎橋劇場に関する雑誌記事をアップしました。

 

 

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