その5に引き続き、大毎地下劇場閉館時の新聞記事を掲載いたします。その情報はこちらのページ↓からいただきました。ありがとうございます。
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2017/12/12/20171212org00m070001000q/0.pdf?1
大阪版毎日新聞 1993年3月11日(木)の夕刊からの記事です。
(なお、かっこ()内の文は、毎日新聞記事とは関係ない、私自身の余談ですよん。)
ザ・スタッフ
大毎地下劇場支配人・高橋三郎さん
さよならシネマ・パラダイス
(毎日大阪会館北館(左) と 毎日大阪会館南館(右) 四つ橋筋にまだ路面電車が走っている頃の写真。この路線は1963年に廃止されたそうです。)
新・大阪モダン建築 -戦後復興からEXPO`70の都市へ-
大阪で唯一の名画座、大毎地下劇場が今月(註:1993年3月)28日で閉館する。ロードショー公開された洋画の名作をえりすぐり毎回、2本立てで上映し続けて33年。見逃した話題作は、たいてい、この劇場で楽しんだ。中でも、イタリアの寒村を舞台にしたエルマノ・オルミ(Ermanno Olmi 1931 - 2018)監督の「木靴の樹 / L'Albero degli zoccoli」(1978)は忘れられない。
「あ、あれ見てもらえましたか。僕がここへきて、あくる年(1980年)、支配人になった年に上映したんです。わー、懐かしいなあ」。高橋さんは、口もとをほころばせた。
「木靴の樹 / L'Albero degli zoccoli」(1978)
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大毎地下劇場は、大阪市北区堂島に毎日大阪会館南館が開館した1958年、大映の封切館としてスタート。長谷川一夫主演の「忠臣蔵」(1958)など邦画を上映していたが、梅田かいわいの映画館ほどふるわず、1960年(註:正確には1961年6月26日)、洋画の名画座に衣替えした。1973年、「友の会」が誕生し機関誌を発行。1975年(註:1972年となっている資料もあり)には「名画鑑賞会」も発足している。
その時代、高橋さんは 大映関西支社洋画部の営業でセールスや経理を担当。大映倒産(1971年)後、第二の人生を、と職安に通い、旅行会社や眼鏡店で経理の仕事をしていたところへ、当時の支配人から「こないか」と声をかけられた。
「話せばなごなりますけど、僕は小さいころから映画が好きでね。料金は子供で八銭ぐらいでしたかなあ。一日中、飲まず食わずで映画館におって親にようしかられたもんです」
(大毎地下ニュース 1977年3月号~7月号 第16号~第20号)
(この頃の大毎地下ニュースのサイズはB5x8頁ではなく、B4x4頁です。)
「(旧制)中学三年の時、新聞の募集広告を見て、親に内証で、PCL映画(現在の東宝)の大阪出張所に就職してね。以来、東宝、新東宝、大映の営業畑を歩いて。大毎地下劇場で僕の映画へのあこがれと経験がぴたっとおうたわけで、ほんまに幸せもんや、と思うてます」
いまスタッフは映写技師ら16人。うち4人が、観客の入り、不入りを決定する番組選定にあたってきた。
「封切館でせっせと洋画の新作を見て回り、話題性や興行成績を調べて2本の組み合わせを考えていくんですが、どうしてもそれぞれの好みがでますでしょ。もめると僕が調停役。僕の判断が気に入らん、と、ふくれたり二、三日、しゃべってくれんかったり」
高橋さんは微笑しながらタバコをくゆらせる。
「僕がきてから、一番ヒットしたんは、「クレイマー、クレイマー / Kramer vs. Kramer」(1979)と「チャンプ / The Champ」(1979)のの2本立てです。二週間の興行で一カ月分のあがりがあって…。逆に、お客さんがちょっとしかこんかも知れん、だけどやりたい、と上映した秀作もありました。ソロバンは度外視して作品の素晴らしさに敬意を表す。こういう試みも映画の好きな人には喜んでもらえましたなあ」
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(1996年、雑誌「女性セブン」にて↓フランコ・ゼッフィレッリ(Franco Zeffirelli 1923 - 2019)監督が映画「チャンプ / The Champ」について語っています。)
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(フランコ・ゼフィレッリ監督、未成年への性的虐待?)
(ゼフィレッリさん、いくら美男で自分の好みだからといって、レナード・ホワイティング(Leonard Whiting)君が嫌がっているのに、ムリに脱がせるのはやめましょうね~。ぐはは)
(「ロミオとジュリエット / Romeo and Juliet」(1968)で、だまされ脱がされ、お尻撮影されました(泣)。5億ドル - 約660億円 - 払って!)
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(もともとリメイク版の「チャンプ」の主役は、ほぼライアン・オニールに決定していました。ボクサーのヘッジモン・ルイスとライアン↓)
(Hedgemon Lewis 1946 – 2020 & Ryan O'Neal 当時の映画雑誌「ロードショー」より)
(大のボクシング・ファンのライアン・オニール Ryan O'Neal)
(こちら↑は女優ジョアナ・ムーアと結婚していた22歳の頃、すでに2児・テイタムとグリフィンの父。只今「ペイトンプレイス物語 / Peyton Place」を撮影中。しかし、こんな人に家庭内暴力されたらたまりませんね~。雑誌「映画ストーリー」1965年10月号255頁より)
(ライアンは「チャンプ」の子役に、自分の長男グリフィンを使えと、ゼフィレッリに強く要求。監督に拒否されると、怒って主役を降りることに…。ワガママな美男ですね~。Hedgemon Lewis & Ryan O'Neal ↓)
(こちら↑は当時の映画雑誌「スクリーン」より。でもオニール、確かに性格悪いですが、良い身体してますね~。ケケケ)
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(「チャンプ」よりも、この↑映画のほうがず~っと好きですわ。)
(リメイク版「チャンプ」、ジョン・ヴォイトとフェイ・ダナウェイが元カップルという設定が、絶対ありえない!と私は思いました~。あなたは?)
(“パパ、本当にママが好きだったの?”)
「チャンプ / The Champ」(1979)
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(“誰が『ママ』よっ!? 言ったでしょ!『親愛なるお母さま』と呼びなさいって!!”)
「愛と憎しみの伝説 / Mommie Dearest」(1981)
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この劇場の顧客はやはり若い女性、6000人を数える「友の会」のメンバーも71%が女性で、80代や母娘二代会員もいるという。
「常連客は朝から座ぶとん、魔法ビン、お弁当を持ってこられます。それも市販のほかほか弁当じゃなく、手作りのおにぎりなんですよお」。番組選定スタッフの一人で40代の〇佳子さんが、アトホームな劇場の雰囲気を語る。
高橋さんも目をうるませ、「うちは322席の中規模劇場ですが、ファンの方は、一昨年、上映した「ニュー・シネマ・パラダイス / Nuovo Cinema Paradiso」(1988)のような昔のよさを残した映画館や、と言うて惜しんでくれはって…」。
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「ニュー・シネマ・パラダイス / Nuovo Cinema Paradiso」(1988)
(私はこの↑映画のような“こうやったら客は感動するだろう”的な狙った「感動の押し売り作」は大嫌いです!!同監督の「マレーナ / Malena」(2000)もまったく自分の好みに合いませんでした~。)
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伊・仏合作のこの映画は、TVに押され閉館したイタリアの小さな村の映画館、ニュー・シネマ・パラダイスの物語だ。同時代を生き抜いた大毎地下劇場は毎日大阪会館の再開発で幕をおろす。24日からの“さよなら番組”が「天井桟敷の人々 / Les enfants du Paradis」(1945)と「勝手にしやがれ / À bout de souffle」(1960)。
「二本とも僕の大好きなフランス映画です」と高橋さんは言った。
(学芸部 南部ひろ)
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(毎日大阪会館北館 右手のレリーフは彫刻家・菊池一雄(1908 - 1985)氏作のブロンズ像だそうです。)
新・大阪モダン建築 -戦後復興からEXPO`70の都市へ-
(こちら↓に、毎日大阪会館北館と11階の毎日文化ホールの懐かしい写真を公開して下さってる方がいます。
https://twitter.com/GbMxgEY9wLtiWEa/status/1622521802298916865
素晴らしいですね!ありがとうございます。)
こちら↓のカラー写真も大変貴重!
https://twitter.com/GbMxgEY9wLtiWEa/status/1676862906728873984