Kontaの歓びの毒牙

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ズズ、トノバン、マンタ、ユーミン

 アイドルにはまったく興味がないんだけど、ちょっと前にミカド(MIKADO)の1984年リリース作「冬のノフラージュ / UN NAUFRAGE EN HIVER」(‘ノフラージュ’っていうのは仏語で、船の遭難、難船、大失敗って言う意味だとか…。)に、ZUZUこと安井かずみさんが日本語詞をつけた日本語ヴァージョンがあると知って、これは是非聴いてみたい…と思い、手に入れました森尾由美さんの1985年のアルバム「ユーロマンティーク / Euromantique」。中古LPレコードで、1500円でした。

 

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 上の写真左は細野晴臣氏推薦、ミカド「冬のノフラージュ」の12インチ・マキシ・シングルね。

 

ミカド(MIKADO)の「冬のノフラージュ / UN NAUFRAGE EN HIVER」はこちら:

http://www.youtube.com/watch?v=hhr6qkQe35k

http://www.youtube.com/watch?v=IKVqr-bknCQ

 

 アルバム「ユーロマンティーク」収録曲は全8曲(収録時間にして約34分)で、安井かずみさんの詞が5曲、トノバンこと加藤和彦さんの作曲が5曲。そしてなんとマンタ(松任谷正隆)さんが「夢 チャイナドール」「だんだんジェラシー」「ちょっとフランス」3曲で編曲を担当されていたとは…これは今までまったく知りませんでしたわ。他にもちろん例のミカドの日本語カバーが1曲と、これにもまた驚いたけど、ミカドも採り上げていたセルジュ・ゲンズブール(Serge Gainsbourg)作・フランス・ギャル(France Gall)の1965年のヒット「涙のシャンソン日記 / ATTENDS OU VA-T'EN」が「HAYAMA」という題でこちらもズズの日本語詞で、歌われていたんですね~。

 

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 収録曲の詳細は上の画像を参照してもらいたいんだけど、アルバム全体の出来は、まあ「ふつう」…可もなく…不可は…あるわ。オールディーズ風サウンドの「そうしましょうね」で、森尾さん、音を明らかに外しまくっててこれはダメでしょ!誰か気づかんかったんかっ?こういうのは絶対録り直しすべきでしょ。安井・加藤の提供作品自体はどれも決して悪くはなんだけど、なんだかちょっとプロデュース不足というか、大いに表現者の力不足というか…「これイイね」じゃなく「ふ~ん」で終わってしまう作品ですわ。

 マンタさんのアレンジ、「ちょっとフランス」は「SUGAR TOWNはさよならの町」風で、興味深いかな…。

 ここで気になるのはやっぱりフランス・ギャルのカバーだよね。というのは、この「涙のシャンソン日記 / ATTENDS OU VA-T'EN」、今僕の知っている限りでは、全く異なる歌詞がついた3つの日本語カバーが存在するということになるからなんだけど…サ。そう以下の3曲は、原曲が同じなの:

 

・アブナイ彼 (ATTENDS OU VA-T'EN) 

歌:藤真利子 日本語歌詞:微美杏里 編曲:松任谷正隆 1984

・HAYAMA (ATTENDS OU VA-T'EN) 

歌:森尾由美 日本語歌詞:安井かずみ 編曲:新川博 1985年

・夜を待って (ATTENDS OU VA-T'EN) 

歌:鷲尾いさ子 日本語歌詞:川村真澄 編曲:萩田光男 1987年

 

 この3曲、聴き比べてみるとね…

 森尾由美さんのヴァージョンでは、前年の小林麻美さん「雨音はショパンの調べ」の大ヒットを受けてだろうけど、新川博さんが編曲を担当。「冬のノフラージュ」のカバー「イマージュ」共々、新川さんのアレンジなかなかいいんじゃない? 葉山マリーナを舞台にした、安井かずみさんの日本語歌詞もグッドよ…。

 鷲尾いさ子さんは、マンタさんと一緒にやっていたFMラジオ番組「ANA サウンド・テイクオフ」でのおしゃべりがとても良くて好きだったけれど(ついでに言うと、前任者の刀根麻理子さんがヒドすぎた!マンタさんの振りに、いつも「え~、ホントですかぁ~」みたいな受け答えばかりで、まともなコメントがまったく出来てなかったのよね…あの方。)、いさ子さん、歌の方はちょっとちょっと…ダメだこりゃ。素直さはあるんだけど、なんか棒読みっぽいの。日本語詞もイマイチだし。いさ子さん、声は悪くないから、もっと表現力を磨きましょうね。

 やっぱり、歌詞・歌唱・編曲全ての面において、藤真利子さんの「アブナイ彼」が群を抜いてるカンジ。もちろん僕の一番のお気に入りは、真利子さんのヴァージョンですよ。あなたも一度、聴き比べてみる?

 

フランス・ギャル(France Gall)の「涙のシャンソン日記 / ATTENDS OU VA-T'EN」はこちら:

http://www.youtube.com/watch?v=iMDb5ukAP9Q

 

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 加藤和彦安井かずみ荒井由実 1976年

 で、この上の写真は今となれば貴重な3ショットだよね。雑誌「GORO」第8号(S61年4月22日号)「激録 ユーミンのライブ対談 / 加藤和彦の“開きなおりの人生”」の41頁に掲載されたもの。YUMINGとZUZUの共作はたった1曲だけ残されていて、加藤和彦さんがプロデュースした森下恵理さんのアルバム「ボーイ・フレンド」に収録された

・恋の祈り 

歌:森下恵理 作詞:安井かずみ 作曲:呉田軽穂 編曲:国吉良一 1985年

という歌なんだけど、これは名曲だと思うよ。もっと二人で作って欲しかったわ。

 

  そして、マンタさん自身にとっても、加藤和彦さんはプロになるキッカケを与えたくれた大切な人なんだって…。

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 2012年8月8日の朝日新聞(夕刊)の記事「人生の贈り物 音楽プロデューサー 松任谷正隆 ③」より。

 

「1971年 加藤和彦氏に依頼されたCMのバック・バンドの仕事で初めてギャラをもらう。又、加藤氏の関係で、この年、初めてRecord Work。吉田拓郎との出会い。ー当時20才の若々しい大学生でありました。

吉田拓郎 アルバム「人間なんて」

“プロデューサーは加藤氏。テイチクの2スタ(第2スタジオ)で録音した。さすがに最初のレコーディングだからキンチョーもしたし、あがってた。「結婚しようよ」を1番めに録ったんだけど、その時はバンジョーを弾いた。間奏のところで民族楽器のハーモニウムを使ったんだけど、それが大変だった。アコーディオンみたいに空気を送って音を出す楽器なんだけど、1人じゃそれができなくて、加藤さんと拓郎とで空気を送りながら僕が弾いてたんだ” (松任谷正隆 談)」(1982年12月 MANTA LAND 機関紙 第4号掲載)

 

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上の写真はアルバム「あの頃、マリー・ローランサン」(1983年)を発表した頃のトノバン  (でも、この頃のズズの歌詞ってちょっと固有名詞使いすぎてない?)

 

 僕がトノバンとズズの夫婦かっこいいな~と思い始めたのは、トノバンが「シンガプーラ」を歌ってた頃 、シンガポールの政府観光局(?)の依頼かなにかで、お二人でシンガポールの魅力をテレビ番組で紹介していたのを見たのがキッカケでした。

 

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安井かずみ & 加藤和彦 1981年12月22日のお二人 (二人が知り合った記念日12月22日は必ずここ、銀座マキシム・ド・パリで友人たちも交えてディナーすることに決めているそう…ョ。)

 

 それとか、中学3年の終わり頃1979年の春に友達が、ミムジー・ファーマー主演のフランス映画「ポケットの愛 / L'AMANT DE POCHE」の試写状をくれて、西梅田のサンケイホールに試写を観に行ったらその催しが「シンガポールの夕べと試写会の集い」というイベントで、映画の他にシンガポールの観光を宣伝するフィルムの上映もあり、その中にも安井・加藤ご夫婦が出演していて、トノバンがやっぱり「シンガプーラ」を歌っていたんですよ。

 1978年の秋からトノバンがユーミンと一週交代でやっていた大阪のラジオ番組「JAM JAM 11 (ジャム・ジャム・イレブン)」も聞いていたし、1979年の「パパ・ヘミングウェイ」はリアルタイムで買い、お気に入りとなったアルバムでした。

 以前にもちょっとHPに書いたことがあるけれど、トノバンとズズが1979年の9月9日の日曜日に大阪なんばCityトーク・ショーでお越しになった時は、もちろん僕、聞きに行きました。こちらページの下の方を参照:

http://www5d.biglobe.ne.jp/~ktabloid/hanabira.htm

 その時のズズの話で今でも良く覚えているのは、車を運転していたら、ずっと後をついてくる車があって(たぶんロールスロイス?)、ナンパかしらと思って当時独身だったし暇だからまあいいかと思って車を止めたら、その後ろの車には来日中のダイアナ・ロス(Diana Ross)が乗っていて、素敵な服を買いたいんだけど、どこかいいブッティックを知らないか訊きたくてずっとついて来ていたとか…。ズズ自身が女性でしかも目立つ外国の高級車を運転していたから、この人ならきっといいお店を紹介してくれるだろうと思ってつけていたんでしょうね。それで、ダイアナを友人(たぶん、コシノジュンコさんだと思う)のブティックに連れて行ってあげました…という話でした。もうズズったら、いつもいつもエピソードがゴーヂャスすぎっ!そう、トノバンとズズ、本当に憧れのカップルでしたよね。でも…そんな理想の夫婦を演じるのに、いつしかちょっとどこか疲れてしまった…のかもしれません。

 

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松任谷正隆 & 荒井由実 1976年3月13日のお二人、婚約時代ね

 

  やっぱり僕はもっと自然体?のマンタ(松任谷正隆)&ユーミン(松任谷由実 / 荒井由実)の夫婦をこれからも「理想のカップル」として目標にしたいと思いまぁす(追記:このカップルも全くの「虚飾の夫婦」であったことが判明しました。さっさと滅びろよ!)。今(2014年5月現在)、世界16か国で同性婚が合法になってるんですもの…俺もガンバルわ! (なんのこっちゃ)。

 

サディスティック・ユーミン・バンド「タイムマシンにおねがい」はこちら:
http://www.youtube.com/watch?v=3pF3WZD7BOQ

サディスティック・ユーミン・バンド・メドレーはこちら:
http://www.youtube.com/watch?v=S4f3LAHjHts

加藤和彦 & 松任谷由実黄色いロールスロイス」はこちら:
http://www.youtube.com/watch?v=luhG89SSefQ

 

荒井由実 LIVE 1996「タイムマシンにおねがい」はこちら:
http://www.youtube.com/watch?v=Tl-2nbsPweE

 

コシノジュンコさんとダイアナ・ロスのエピソードがこちらのページにありました:

http://shintaro.me/friends/junko-koshino/5/

 

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