Kontaの歓びの毒牙

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「ニューヨーク・ニューヨーク/NEW YORK, NEW YORK」

サントラ未購入って本当に私のファン?

 本来なら「ニューヨーク・ニューヨーク/NEW YORK, NEW YORK」(1977年)のサントラ盤ASIN:B00000DQSH の紹介のはずなんですが、実はまだこのアルバム持っていません。映画は1978年に「ネットワーク」と2本立てで劇場で観たのですが、あまりいい印象なかったんですよ〜。それにサントラ盤もいつでも手に入るし…とか思ってそのまま買わずに今に到っております。
 で、映画の方を27年振りぐらいにビデオで観直してみました。今回のものは初公開時に短縮されていたミュージカル場面「HAPPY ENDINGS」が復活した164分版です(劇場公開版は155分)。う〜ん、思ったほどヒドくありませんでしたね。ライザ・ミネリ(Liza Minnelli)に関しては、かなり素晴らしいのではないかと思います(数々の凝った髪型が彼女を魅力的に見せてるかどうかは別として…)。失敗作と言われる原因は、僕の個人的な意見ですが、ロバート・デ・ニーロが演じるジミーの人物像にあると思います。強引、自分勝手で権力志向、自己顕示欲が強く、他人に対して思いやりが無くて、人の立場になって考えることの全く出来ない超勘違い野郎なんです、ジミーは。サックス演奏に関しては天才的という役どころですが、"いろいろ問題あるけど、どこか憎めない魅力的な人物だよね"と観客に感じさせる役作りでないとダメだと思うのですが、このジミーにはそう言った'愛すべき部分'は皆無です!観ているとイライラ、もうホント殺したくなるようなヤツなんです。
 ライザが演じるフランシーヌも、こんなサイテー男に関わって人生狂わせましたよね!僕なら絶対"私の青春を返せーっ"って叫んでます。映画の中で、ジミーがフランシーヌとケンカした後、車一杯に花を積んで謝りに来るシーンがあるんですが、人に対する気持ちって、そういった'形式'じゃないだろと思いました。花買ってお金使うより、まず始めに"お前の他人に対する根本的態度を改めな!"って言ってやりたい場面でした。フランシーヌがジミーと付き合って得たものって、二人で書いた歌「NEW YORK, NEW YORK」と、二人の間の一人息子だけ!結局、この息子が生まれた時に二人は別れるのですが、自分の子供の顔を一目見ることさえも否定する父って一体何なのでしょう?それより前の場面では、フランシーヌのお腹の子が生まれそうになってる時に、ジミーは'子供なんか欲しくなかった'発言までするし…(お前は鬼か!)。こんな親が子供を虐待して殺したりするんでしょう(きっと)。
 そして時は流れ、6年後に二人は再会するのですが、フランシーヌはミュージカル界の大スターに、そしてジミーは昔作曲した「NEW YORK, NEW YORK」がヒットして今や大きなナイト・クラブを所有してるご身分。こんな物語展開で"印税ってそんなに美味しいのか?こんな大バカ野郎さえ成功してやがんの…(ケッ)。それにフランシーヌとの間に出来た子供に、その時初めて会いに行って、いきなり父親ズラするんじゃねーよ。親らしいことこれまでひとつもせずに、お前なんか父親なんかじゃない、単なる'精子提供者'だろっ"と思わず怒りの声を上げたくなったのは僕だけでしょうか?
 こんなに救いようのないジミーですが、もし演じる俳優がそれ相当に'イイ男'ならまあ許してもあげられるのですが(結局それかい!)、容姿ではなく演技力が売りのデ・ニーロじゃあね(さすがサックスを吹く姿はなかなか様になっていますが…)。それに、ほら彼の胸の真ん中にちょっとだけある胸毛が、また全然イケてないんです!
 結局、'天才サックス奏者、でも人間としてはクズ同然の人物'ジミーを映画で描くことで、監督は何を意図したのか全く理解不能です。"変な人間に関わって人生の貴重な時間を無駄にしてはいけない"という教訓ですか?(笑)。それとも"問題ある人間でもヒット曲を書けば、一生楽に暮らせるという印税制度の美点?(違うって)。はたまた、当時ライザと監督マーティン・スコセッシはダブル不倫関係だったので、やっぱりこれも単に監督の'色ボケ作品'なのでしょうか?
 とどのつまり、ジミーという人物像にさえ目をつぶれば、この映画はそこそこ見れる作品なんです。「くちづけ」「キャバレー」とは違った個性の人物を、ちょっと押さえ気味で表現するライザの演技はなかなかですし、ミュージカル場面、特に「HAPPY ENDINGS」のシーンは、母親ジュディ・ガーランドの映画「スタア誕生ASIN:B00006LY0J を思わせる程の、ライザの見せ場になっていると言えるでしょう。まあ、「スター・ウォーズ」や「サタデー・ナイト・フィーバー」のヒットした年、1977年にこんな古めかしい作品で対抗しようとしたのはお笑いですが、現在ビデオ(あくまでもビデオ、劇場ではなく)で、途中休み休み観るのなら悪くない164分だと思いますよ〜。


New York, New York (1977 Film)

New York, New York (1977 Film)