2014年の秋にあるフランス語関係の会に参加して、それが終わった後、ワインを飲みながらの参加者交流会がありました。その時お話しした方から、アナベル・ビュフェ(ビュッフェ Annabel Buffet 1928 - 2005)のレコードがいいと、教えていただきました。アナベルは、画家のベルナール・ビュフェ(Bernard Buffet 1928 - 1999)の奥様だそうで、彼女のレコードのジャケットは全部、ビュフェが描いているのだとか…。その方はアナベルのレコードを集めていると、その時おっしゃっていました。
(ベルナール・ビュフェ Bernard Buffet といえば私たちの世代ではやはり、フランソワーズ・サガン Françoise Sagan 1935 - 2004 の文庫本の表紙でしょうか。中学の時に読んだ本を取り出してみました↑。フランス語の先生は、朝吹登水子の訳はヒドイ!と言っておられたけれど…?)
画家ビュフェの妻は歌手…それは面白そう!と思ってすぐアナベルのアルバムを探したのですが、その時は簡単に手に入るCDは見つけられませんでした。
映画「風の歌を聴け / Hear the Song of the Wind / Écoute le chant du vent」
話は変わりますが、そのワインの会から月日が経って2018年の初夏、全く別の折りに、ある人から“村上春樹の小説を映画化した「風の歌を聴け」(大森一樹監督 1981年)は、80年代初頭の神戸や西宮で撮影されているのよ”という情報をいただきました。私自身は村上春樹はちょっと…ですけれど、当時の神戸や西宮の景色にとても興味があったので、すぐに映画「風の歌を聴け」の中古ビデオを手に入れました。そしてそのビデオを見ていたら、思ってもみなかったことに、その映画の中のバーの場面で何度何度もアナベル・ビュフェのポスターが印象的に映し出されていたのです。
アナベル・ビュフェ Annabel Buffet と 真行寺君枝 Kimie Shingyôji
小林薫 Kaoru Kobayashi 坂田明 Akira Sakata アナベル・ビュフェ Annabel Buffet
アナベル・ビュフェ Annabel Buffet と 巻上公一 Koichi Makigami
ビデオを観終わった後、ワインの会の時の話がますます気になって、アナベルについて再び調べてみました。アナベルは歌手だけではなく女優もしていて、いくつか映画にも出ていたのです。
立っている女性3人のうちの真ん中が アナベル・ビュフェ Annabel Buffet
上と下の画像はジャン=ピエール・メルヴィル(Jean-Pierre Melville)監督の映画「恐るべき子供たち (Les enfants terribles 1950年)」からです。持っていたソフトを再見してみました。アナベルはマヌカン役でちょっとだけ出てきます。残念ながらこの映画はまったくの失敗作なのですが…。この失敗の原因は、コクトー(Jean Cocteau 1889 - 1963)が自分の愛人エドゥアール・デルミット(Édouard Dermithe 1925 - 1995)をゴリ押しで主役に据えたことにあるように思います。デルミットは少年ポール役には老けすぎてる上に表情も演技も硬く、この役を演じるのに見合った魅力があるようには私には感じられませんでした。コクトーも色ボケする時があるのですね。
映画「恐るべき子供たち Les enfants terribles」
真ん中が アナベル・ビュフェ Annabel Buffet
そして2014年時点では見つけられなかったアナベルの歌のCDが、現在は入手できることを、その後ネットで発見しました。アナベル自身の名義のもの(上の画像の左上)の他に、サガンが作詞しミシェル・マーニュ(Michel Magne 1930 - 1984)が曲をつけた歌を色々集めたCD2枚組作品集(上の画像の左下)の中にもアナベルの歌が4曲収録されています。アナベルの歌、悪くないですよ。
ところで、ベルナール・ビュフェってバイ・セクシュアルだったんですね。 サン=ローラン(Yves Saint-Laurent 1936 - 2008)のパートナーとして有名なピエール・ベルジェ(Pierre Bergé 1930 - 2017)はベルナールの元彼だったとか…。
こちらの方のアナベルについて書いたブログがとても興味深いです。ぜひご覧ください。
https://note.com/cotorigallery/n/na6a43a85e12c
何らかの集まりで知らない人とお話すると、新しい世界が広がるので楽しいですわ。アナベルを勧めてくださった方が、他のお気に入りの歌手として挙げておられたのが、ブルターニュのノルウェン・ルロワ(Nolwenn Leroy)とケベックのイザベル・ブーレ(イザベル・ブーレイ Isabelle Boulay)。そのワインの会で話した別の方は、ローラン・ヴルジィ(Laurent Voulzy)やジャック・ドゥーエ(Jacques Douai 1920 - 2004)が好きとおっしゃっていました。その時書いてもらったメモがファイルを探したら出てきました。これらの歌手もぜひ今後聴いてみたいと思いま~す。
アナベルと関係ない「おまけ」:
映画「風の歌を聴け」の古尾谷雅人さん(下の画像左端の人物)の場面は
関西学院大学の前の通りで撮影されています。
こちら↓は芦屋のプールで撮影された場面。
2015年発売のアナベルのCDはこれ↓。
この下の2枚組CDにはミシェル・マーニュ作曲以外の歌、映画「悲しみよこんにちは」や「さよならをもう一度」の主題歌なども収録されています。グレコ、ムルージ、アンソニー・パーキンス、ダリダ、ダイアン・キャロル等が歌う、サガンに関係する歌が盛りだくさん↓。
映画「風の歌を聴け」に出てくるポスター↓。
真行寺君枝さんが働いている、神戸元町のレコード店の場面↓。スーザン・アントン(Susan Anton)の1981年のアルバム「フォクシー / FOXY」が映り込んでいます。
「風の歌を聴け」は1970年の話でしょう?時代考証はちゃんとしたほうがいいですよ!!
Susan Antonの「FOXY」はこちら↓のCDで。 フォクシ~♪!
- アーティスト:オムニバス,ゴールドフィンガー,レイフ・ギャレット,スーザン・アントン,ジョン・キャファティ&ザ・ビーバー・ブラウン・バンド,サバイバー,ビリー・オーシャン,バックストリート・ボーイズ,ブリトニー・スピアーズ,アナザー・グリーン・ワールド,エル・トポ・トレス
- 出版社/メーカー: ゾンバ・レコーズ・ジャパン
- 発売日: 2002/12/18
- メディア: CD