Kontaの歓びの毒牙

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ユーミン すべての人のもの

 僕が行ったユーミン(松任谷由実 / 荒井由実)のコンサートの中では「BROWN'S HOTEL / ブラウンズ・ホテル」が一番好きということは以前書きましたが、それに次いで大好きなのが1984年の「Yuming Blood」コンサートなのです。このステージは1984年の10月1日と10月5日の2回、大阪フェスティバル・ホールで観ました。

 

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 このライヴでのユーミンのパワーというか、エネルギーの発散はスゴかったです。1984年~1985年の時期というのはユーミンの芸術活動の、何度もある頂点のひとつでしょうね。

 

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 ところで、この「Yuming Blood」コンサートのパンフレットで、ユーミンがお気に入りということで紹介していた物の一つが、上の画像、ハリー・クレッシング(Harry Kressing) 1965年の著作「料理人 / THE COOK」(早川文庫 一ノ瀬直ニ訳)でした。

 

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 ユーミンはこの「料理人」を、翌年の雑誌「non・no / ノンノ」1985年11月20日号 72頁「ユーミンの流行ジャック」⑤ ー読書の秋は、いい女を作るー という記事でも、お勧めの一冊として挙げていました(上の画像 1985年秋時点のユーミンの愛読?書)。

 

 それで、興味を持って「料理人」を読んでみたのですが、とても怖くてとても面白かったです。そして思い出した事が一つありました。

 

 そう、あまり知られていないようなんですが、実はこの「料理人」を元(参考)にして作られた映画があるのです。「すべての人のもの / SOMETHING FOR EVERYONE」という1970年のアメリカ映画で、日本では劇場未公開、何年か前にNHK衛星放送のBS2「ミッドナイト映画劇場」で一度放映されたことがある作品です。

 

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 映画の最初にもちゃんとクレジット(Suggested by HARRY KRESSING'S novel THE COOK)が出てきます。ちょっと興味をひいたので、原作と映画を比べてみたいと思います。映画も本も知らない方には、まったく面白くないかもしれませんが…。

 

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 コンラッド(マイケル・ヨーク)が、自転車で登場するのは原作と同じですが、映画の舞台はどこでもない町コブから、ドイツ(かオーストリアかも?)の架空の田舎町へと変更されています。背景には原作でいうところのプロミネンスの城が…。

 

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 下男のルドルフ(上の写真の右側)と犬が登場するのも原作と同じです。でもコンラッドが料理人で、その料理の味ですべての人を魅了するという小説とはまったく違い、映画ではコンラッドは貴族のうちに使用人として雇われやがて執事になり、その性的?魅力で人々を支配していくことになります。原作のヒル家の古株執事マクスフィールドは、映画ではクラウスという名の執事で元ヒトラー・ユーゲントという設定に変えられています。

 

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 映画ではヒル家がオルンシュタイン伯爵家になっており、伯爵はすでに亡くなっています。伯爵夫人(上の画像の黒いドレスの女性)は、アンジェラ・ランズベリーが演じます。そして原作で重要な役割を果たすヴェイル家の3人は、映画では全てカット。その代り成金のプレシュカ夫妻とその美人の娘アナリザが登場します(上の画像、残りの3人)。

 

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 ヒル家のハロルドは、映画ではオルンシュタイン家のヘルムート(アンソニーコーランの名でクレジットされている、アンソニー・ヒギンズが演じる)、エスターはロッテという名になっていて、コンラッドはこの家族3人全員と肉体関係(いやん!)を持つことになります。なんだかパゾリーニの「テオレマ」みたいですね。

 

 原作の ‘料理人’ という設定をなくした時点で、もう映画は「料理人」とは別物と考えた方がよさそうですが、映画独自のものとして観てみると結構面白い作品だと思います。この映画「すべての人のもの」に関しては、ボーゼ・ハドリー著「ラヴェンダー・スクリーン ゲイ&レズビアン・フィルム・ガイド」(白夜書房 奥田祐士訳)の71~73頁にも記述があるので、興味のある方はそちらも参考にしてみて下さい。

 

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 ユーミンのお勧めハリー・クレッシング著「料理人」、確かに ‘クライマックスがいまいち’ 感がありますが、とっても不思議な作品で、引き込まれるように一気に読めますよ。この何とも言えない感覚(←僕に表現力がないだけョ)、あなたも一度味わってみてはいかがでしょう?

 

映画「すべての人のもの / SOMETHING FOR EVERYONE」:
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=162545
http://www.imdb.com/title/tt0066392/

 

 「Yuming Blood」コンサートの写真2枚は、雑誌「JUNON」1985年1月号 26頁 Dear Yuming という記事より。

 

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