藤真利子さんが、ただ1度だけ行ったという1981年のコンサート、一体どんなものだったんでしょうね~。残っている当時のパンフレットを見るだけでも、 ありきたりなものではなかったということがヒシヒシと伝わってきます。セリフはないけどドラマ仕立てで、歌1曲1曲に衣装を替え、中には1点1000万円の衣装もあったそう。
Mariko Fuji 藤真利子 Vivi Enleigh 微美杏里
藤真利子 1981 ファースト ドラマチック コンサート 浪漫幻夢
1981年4月30日(木) 6:30開演 神宮外苑 日本青年館ホール
MARIKO FUJI 1981 FIRST DRAMATIC CONCERT "ROMANTIC GAME"
“華やかな脚光を浴びて歌い踊るミュージカルスター。それが私の夢です。はじめてのコンサート、胸おどります。
二部構成で合わせて20曲を、ドラマティックに、女の夢と幻、恋のゲームの楽しさ、哀しさを、自由な発想で歌って踊って、演じてみたいと思っています。
劇的で、ヴィジュアルな舞台!私は心こめて歌います。 MARIKO”
第1部 追想幻戯 曲目
ドレスのデザインはもちろん Nicole 松田光弘氏が担当
松田光弘 Mitsuhiro Matsuda & 藤真利子 Mariko Fuji
出演 / 藤真利子
ゲスト / 光田昌弘
演奏 / 三井誠バンド
トランペット / 佐野健一
Staff
企画・構成 / 夢小路幻児
演出・振付 / 竹邑類
編曲 / 三井誠 瀬尾一三
衣装 / 岡崎陽一<さゝや> 夢小路幻児 新井喜一<京都衣装> 和服&ゲスト衣装
ドレスデザイン / 松田光弘 (Nicole)
スタイリスト / 荒川恵子 早田鉄也
ヘアー・メイクアーティスト / 広田千秋
照明 / 勝柴次朗
舞台監督 / 加藤三季夫
制作 / 菅沼延夫 仁科唯志<ラムセスミュージック>
協力・協賛 / テイチクコンチネンタル
主催 / 文化放送
企画 / オフィスC&P
制作 / ラムセスミュージック
第2部 浪漫幻夢 曲目
ユーミンの「み」は「実」ですからねっ。
森直美ディレクターと打ち合わせする真利子さん 1980
雑誌「レコード・コレクターズ」2014年7月号106頁 「藤真利子 インタヴュー」より
ー 夢と幻想のオムニバスドラマ 葛井欣士郎 -
藤真利子にとって文字どおりはじめてのコンサート、二部構成で合せて二十曲、彼女は歌とマイムとダンスで20のドラマのヒロインを一人で演じることになる。
流行歌、演歌、ニューミュージック、ポップス……etc。時代の流れとともに呼称も種類も多義をきわめているが、その分類の目安はどこにあるのだろうか。
そこで全く自由な発想で彼女の歌う曲をあえて分類するならば、私はそれを “アクトミュージック” と呼んでみたい。ファッショナブルに女の心を演ずる歌である。
このコンサート、あるシーンでは彼女は彼女の出世作「飢餓海峡」の杉戸八重のようにいとおしく哀しい女を、あるときは華麗なミュージカルスターのように、ゴージャスな女、ミステリアスな女、過去のある女、可愛い女を、竹久夢二の画から抜け出たような扮装で、スペイン風のロングストールをまとったり、時には男装、時にはきものの裾を長くひいて……。
藤真利子の夢想と幻想の中に生きる女たちの姿を、心を、表現してみたいと思ったのである。
そしていつの日にか、何の飾りもない舞台で、たった一枚のドレスと一条のスポットの中に立って20人の女のドラマと情感をしみじみとうたいあげる、そんなドラマティックシンガーになってほしいと願っている。
松任谷由実 Yumi Matsutoya ユーミン & 藤真利子 Mariko Fuji
*****
「シナリオ (シ・ナ・リ・オ)」 歌:藤真利子
あなたのシナリオは
エンド・マークがないのね
春の雨の中 二人の愛は
エンドレスだと思っているのね
あなたのシナリオに
欠けているのは何なの
とりとめがなくて 優しいだけじゃ
時代遅れよ メリハリつけてよ
たまには そうよ たまには
ルイ・マルなんかみたらどうなの
ちょっと古いけど……
ほんとのシナリオは
エンド・マークのあとから
始まるのよ
ルイ・マル Louis Malle (1932年 - 1995年)
あなたのシナリオは
愛の台詞が平凡
抱きあってそして 最低だよと
そっとつぶやく 強さがほしいわ
あなたのシナリオは
読めばねむたくなるのね
サスペンスなのよ 愛する事は
燃えるためには スリルがほしいわ
たまには そうよ たまには
ゴダール風なところ見せてよ
ちょっとシュールにさ……
ほんとのシナリオは
どこか翔んでるところに
味があるの
ジャン=リュック・ゴダール Jean-Luc Godard (1930年 - )
たまには そうよ たまには
別れることもわるくないわよ
ちょっとつらいけど……
ほんとのシナリオは
書いた人さえ裏切る
怖いものよ
勝手にしやがれ(1959) 女と男のいる舗道(1962) 中国女(1967)
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Haruomi Hosono Mariko Fuji Yukihiro Takahashi
“常に変化(へんげ)する美女…彼女は醜くもなれれば闇を飛翔することもできる妖精だ。” 辻井喬(詩人)
坂本龍一 Ryuichi Sakamoto & 藤真利子 Mariko Fuji
真利子さんご自身の才能はもちろん、非常に優秀で超個性的なブレーンにも恵まれていたんですね、真利子さんって…。
帝国劇場での舞台「あなたがいたから私がいた」まで、あと約ひと月…、待ち遠しいですわ。
脚本・演出:松任谷正隆 帝国劇場 2014年10月8日(水)~31日(金)
Yuming(松任谷由実 / 荒井由実) sings...「あなたがいたから私がいた」:
http://www.tohostage.com/yuming/