Kontaの歓びの毒牙

映画と音楽が大好きです。ホームページ KONTABLOID はこちら http://www5d.biglobe.ne.jp/~ktabloid/

ユーミン 私のフラソワーズ・アルディ 対談 その3

でも顔のデカさはユーミンの勝ちさ

以下雑誌「フラウ/FRaU」1996年10月22号(No.123)の63頁から68頁のカラー全6ページからの抜粋です。

取材・文/小野綾子

  • 美意識とは、弛まぬ取捨選択の結論である


 60年代、それまでエレガントなオートクチュールを展開してきたパリ・モード界に、ティーン・エイジャーの掲げるアンチ・モードの風潮は、少なからず影響を及ぼし始めていた。型にはまったモードからタブーのないモードへ。イエイエ族はそんな風潮を代表する若者だったのだ。最初に“タブーのないモード”クレージュを着て舞台に立ったのその人は、イエイエ族のアイドル・シンガーと言われていたフランソワーズ・アルディだった。自らも未婚の母となり(現在は入籍済み)、愛と自由をその手で掴み取ってきた人。
 キャリアを積むだけではなく、私たちが憧れる女性としての生き方を実践し、やはり時代を開拓してきたユーミンとの間には、音楽というジャンルを超えての何かが触発しあったのだろう。セッション、最終段階、話題はさらに深みを目指して―。


アルディ:イエイエ族の旗手なんて言われていたのは、ある意味、偶然だったのよ。時代の流れの中で、たまたま私のデビューの時にはクレージュがいて、だからそれを着て舞台に立っただけ。14〜15歳ぐらいの頃、私の憧れはデコルテな服を着たブリジット・バルドーだったわ。実際にそんな服を着てたらどんなにバカらしかったかしらと今は思うけど、でもそれが私の夢だったのよ。
 実際は、ファッションなんか気にとめないほうだったの。ステージの時だけどうしようかと思うぐらいでね。でもある時、私の好きなドイツの作曲家が何日も同じ服を着ながら仕事をしているのを見て、“これだ”と思った。以来、着る物で思い煩うのは止めようと決めたのよ。
 クレージュ本人は、パリジャンでもなく、社交界にも関わらないタイプで、とてもナチュラルな人。その点でも気が合って付き合うようになったのだけれどね。
ユーミン:へえ、意外。クレージュというと宇宙服みたいなイメージがあったから、もっと前衛的な人なのかと思ってた。最近、また新鮮に見えて、ロゴ入りTシャツを買ったりしてるんですよ。
ア:おもしろいわね。
ユ:ナチュラルだったわけではないけれど、タブーを破ったという意味では、今のパリ・ファッションの布石となっていますよね。
 美容への意識にしても、ファッションの感覚にしても、フランスとアメリカでは全然違って見える。アメリカではスーパー・モデルのような人口的な美しさがもてはやされていて、整形手術なんかも盛んでしょう? フランスはもっとナチュラル志向というか。私はそのナチュラルなほうに行きたいと思っているんですけど。
ア:最近はフランスでも人工的なものに目がいくようになっているのよ。これはアメリカの影響ね。エマニュエル・ベアールなんかあんなにきれいなのに、唇をめくる手術をしている。M・ファーマー(注:ミムジー・ファーマーのことか?古すぎ? きっとミレーヌ・ファルメール?)も本来の魅力ではないセクシーさを作り出そうと躍起になっている。もちろん私は嫌いだし、とても滑稽だと思うわ。幸い、ジュリエット・ビノシュのように自然美を損なわずに保っている人もフランスにはたくさんいますけれど。
ユ:美意識の中には、異性の目を気にしてというところもきっとあるんでしょうね。パリで空港を降りた途端、“男”“女”という強烈な空気を感じるんですよ(笑)。私なんかは、少女の部分を忘れたくないという思いがあるので、あまりにレアなものを見るとつい引けてしまうのだけれど…。アルディさん自身は愛の戦いに身を投じたことってあるんですか?
ア:もちろん、それしかしてこなかったわよ(笑)。そのためにずっと生きてきたんだもの。
 占星術を勉強したのも、筆跡学を学んだのも愛する人を理解したいと思ったから。歌ってきた全ての歌は、その時付き合っていた人に歌った歌だった。
 恋愛はそれこそたくさんしてきたけど、その中でも情熱的だったと言える恋は2回あったわね。ほとんどの人生を埋め尽くすような、そんな恋だった。
ユ:きっぱりと言えてしまうところが潔い!
ア:だって、言って悪いことなんかひとつもないもの。
ユ:私の場合、恋愛がきっかけにはなっても、実際曲を作る時には幾通りにもストーリーを組み立てるタイプだから、“恐れ入ります”という感じですよ(笑)。
ア:私はイマジネーションなし。全部実際の出来事よ。
ユ:すごいわ。身がもたないわ…(笑)。
ア:でもね、その相手が毎回変わらなくてもいいのよ。たとえば私は夫(注:ジャック・デュトロン)に20年間恋をしている。そしてその中で起こった様々な出来事や問題が曲になっていく。相手が誰であれ、内面の戦いというのは起こってくるものでしょう。だから同じ相手でもいいの。違う相手である必要はまったくない。
ユ:あ、それはわかりますね。対象がひとりの人であっても、関わり方は違ってくるわけだから。
ア:長く付き合えば、関係はより深くなるでしょう? それまでしなかった別な方法で表現できるようになってくるの。
 今でも、18〜19歳で歌っていたような同じ感情を感じることもあるわ。今でも同じ歌を歌えるけど、でも今ならもっと違った表現にするかも知れない。そういうことなのよ。
ユ:日本とフランスという条件の違いからの相違点はあるけれど、創作姿勢という点では、やっぱり同じなのかな。
 日本って、なぜか若い女の子が偉いんです(笑)。もしかしたらチープに聞こえるかも知れないけれど、たぶん男の人の考え方がそういう風潮を作っている。“若いほうがいい”っていう。外見と中身はある程度寄り添うものだけど、それでも内面を重視するウエイトがフランスとは違うという気がするんですよ。それが相違点を生んでいるのかも知れない。
ア:あら、フランスだって同じよ(笑)。男の人の大半は若いほうがいいと思っている。でも、個人レベルで見ていくと、例外もいるのよ。そしておそらく、そういう男の人のほうが魅力的なの。
 年を取った男の人は若い女の人が好きだけど、でも逆に若い男の人の中には、年上の女の人がいいという人も多いのよ。私の息子(注:トマ・デュトロASIN:B005HZDXG6)が16歳の時のことだった。36歳のイタリア語の先生を好きになったの。そして“ママ、大切な話があるんだ”ってこう言ったのよ。“人は年齢に恋するんじゃないんだ。その人に恋するんだよ、わかる?”って。
ユ:ウワッ、素敵な息子さんだわ。でもそういうことをナチュラルに受け止めるという社会背景が、やはり圧倒的に違うわね。
ア:親としては、若い子を連れて来られるよりも、大人の女性を連れて来てくれたほうがホッとできたの。ただ唯一心配だったのは、彼が若いから、いずれ他の人を好きになったりした時に、彼女が傷つくのではないかという、そのことだけだった。
ユ:でもそのリスクを皆背負って恋しているわけだから。
ア:そうね。あれからもう6年も続いているからそれだけでももういいんだと思うわ。
ユ:若い時期に甘い汁を吸おうなんて思っていたら、やっぱりダメじゃない? 素敵な思いをしたいと思ったら、女も“50歳になったらどうする? 60歳になったら?”それを考えて男も教育していかなきゃいけないのかも知れない(笑)。


おわり

アン・ヴォーグ~ベスト・オブ・ジャック・デュトロン

アン・ヴォーグ~ベスト・オブ・ジャック・デュトロン

Le Meilleur Des Deux

Le Meilleur Des Deux

Comme un Manouche Sans Guitare

Comme un Manouche Sans Guitare

Silence on Tourne on Tourne En Rond

Silence on Tourne on Tourne En Rond