バーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)の1978年のアルバム「ソングバード/SONGBIRD」ASIN:B0000025D8 が、派手さはないものの、なかなか良い出来で僕は気に入ってます。バーブラのアルバムでは、この辺りからリアル・タイムに聴いているので、特に思い入れが強いのかも…。中学生の頃に非常によく聴いた作品集でした。このレコードは1998年のイギリス映画「リトル・ヴォイス/LITTLE VOICE」ASIN:B00005FXNL の画面にもちらっと登場していましたが、イケてない帽子をかぶったバーブラのカバー写真、覚えているでしょうか?
この「ソングバード」でバーブラは1970年代後半の、いわゆる'コンテンポラリー・ポップス'を数多く採り上げているのですが、その中に1曲だけちょっと古めな1971年に書かれた曲<DEEP IN THE NIGHT>があって、どういう起源を持つ歌なのかずっと気になっていたのです。その数年後手に入れたのが、エタ・ジェームズ(エタ・ジェイムス/Etta James)がこの曲をタイトルに1977に作ったアルバム「夜のしじまに/DEEP IN THE NIGHT」ASIN:B0000004C7 でした。アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)の作品等で有名なジェリー・ウェクスラー(Jerry Wexler)がプロデュースしたこのエタのアルバムは、評判通り、全体としては確かに名盤なのですが、<DEEP IN THE NIGHT>1曲に関しては、歌が始まる前にかなり長い語りの部分がついていて、その話の内容がひどく性的にあからさまで、(赤面!どころか)とっても気持ち悪かったんです(ヘテロの中にはこんなん聞いて喜ぶ人おるんか?)。エタのエッチ・ヴァージョンが僕の好みではなかったので、さらに別のヴァージョンを探すことにしました。
そうして、先日やっとオリジナル版を見つけました。なんと、もともとは1971年のブロードウェイ・ミュージカル「INNER CITY」*1で使われた歌だったそうです。曲:Helen Miller、詞:Eve Merriamと、女性二人の名が作者に記載されています。歌詞に関しては、同時期のスティーヴン・ソンドハイム(Stephen Sondheim)のブロードウェイ・ミュージカル「FOLLIES」(1971年)ASIN:B000002SNP の中の名曲<LOSING MY MIND>と、通じる部分があるのではないかと僕は思っているのですが…(偶然かよ?)。どちらも"何をしても、思うのはあなたのことばかり…"というすごく深い愛の歌なのです(ムフフ)。
原曲を聞いてみると、エタが話していた歌の前に入るエグい語りの部分も、そのまま劇中の独白にあったものだったと判明して、これには驚かされました。'ビッチもの'(笑)をやっていた?エタが自分で考えて付け加えたものだと、ずっと勘違いしていたので…。物語中のセリフだと思えば、内容のお下品さもちょっと緩和されるというもの?(でも、やっぱり嫌だけどね)。オリジナル・キャスト盤LP(RCA VICTOR LSO-1171)で歌っているのはLinda Hopkinsというアフリカ系の中年女性で、この人はブロードウェイでは「PURLIE」(1970年)や「BLACK AND BLUE」(1989年)という舞台に出演されているようです。バーブラやエタにも引けをとらない素晴らしい歌唱を、聴かせてくれます。でも、ポップスではやっぱりある程度品位を保って、セックスを赤裸々に語らないで欲しいと思ってしまうのは、僕の育ちが良過ぎるせいなのかしら〜?(言っとれ)。
- アーティスト:Streisand, Barbra
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: CD
- アーティスト:James, Etta
- 発売日: 2008/09/09
- メディア: CD
- アーティスト:サラ・ヴォーン
- 発売日: 2007/02/21
- メディア: CD
Follies: Original Broadway Cast
- アーティスト:Broadway Cast
- 発売日: 1992/11/17
- メディア: CD
*1:「INNER CITY」 http://www.ibdb.com/production.asp?ID=3629