ユーミンの1978年のアルバム「紅雀」が大好きなのだけれど、そのアルバムに関して、ユーミンは1979年のインタビューで"「紅雀」ではアストラッド・ジルベルト(Astrud Gilberto)とかクロディーヌ・ロンジェ(Claudine Longet)みたいな女をやろうと思った"と語っていました。それを読んで'どういう人達なんだろう〜'と興味を持って、彼女たちのレコードを後に探してみました(大学生になって、レコードもたくさん買えるようになった1980年代始め頃の話です)。
当時、アストラッドのレコードはレコード屋さんですぐいくつか見つかりましたが、クロディーヌのは全て廃盤だったのか、中古屋さんでやっと1枚入手出来ただけでした。「紅雀」を初めて聴いた1978年は、僕は中学3年生で、そのアルバムから浮かび上がる女性像はすごく大人に思えたのですが、アストラッドやクロディーヌのレコードを聴いてみると、イメージしてた'大人の女性'というよりむしろかわいい印象がありましたね。でも期待はずれというわけではなく、アストラッド、クロディーヌ、どちらも好きになりましたが…。
ユーミンの「守ってあげたい」は、映画「いちご白書」(1970年)の主題歌「サークル・ゲーム」っぽい雰囲気をイメージして書かれたというのは割と有名な話ですが、もうひとつヒントになったのが、アストラッドが1967年当時6歳だった息子マルセロ(マルチェロ)・ジルベルトとデュエットした「ママと歌おう/YOU DIDN'T HAVE TO BE SO NICE」という曲だとユーミンは1981年に、話してました。この曲のオリジナルはラヴィン・スプーンフルの「うれしいあの娘」(1965年)で、アストラッドのヴァージョンはアルバム「BEACH SAMBA」に収録されています。
米国出身の友人に言わせるとアストラッドの英語は"変になまってる"そうなんですが、日本の僕らが聴くには全然気になりませんよね。アストラッドの曲では、彼女が向井滋春さんと組んで1983年に発表した「CHAMPAGNE & CAVIAR」が、特に僕のお気に入りで、またこの曲はアストラッド自身もとても誇りに思っているものだそうです(ただし1986年の再録ヴァージョンは全然ダメ!)。この曲でアストラッドがもっと好きになって、1991年10月にブルー・ノート大阪に彼女が来た時、期待して聴きにも行きました。ところが、ライヴは全然楽しくなかった…(泣)。お馴染みの曲は「ワン・ノート・サンバ」「三月の雨」「おいしい水」ぐらいしかやってくれなくて、かなり自己満足なステージというカンジ(疲労)。それに実物のアストラッドは全然愛想良くありませんでした。まあ、クロディーヌのように‘事件’を起してないだけマシよね(結局、最後は悪口かい!)。
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